SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.117
セブンイレブンの食とプライベートブランドについて
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【3】セブンイレブンの食とプライベートブランドについて
セブンイレブンでコーヒーがうまいのですが、ドーナツまで取り扱っているそうで、セブンはすごいなという感じの話。
ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、ポプラ……と数あるコンビニの中で、プラス成長を維持しているのは、首位のセブンイレブンだけだそうです。セブンイレブンの1店舗あたりの平均日販(1日の売上高)は66万8000円(2013年2月期)と、他のコンビニチェーン店と12~20万円の開きがあります。
セブンイレブンやスーパーのイトーヨーカ堂を手がけるセブン&アイ・ホールディングスの2014年8月中間連結決算では、本業のもうけを示す営業利益1672億円のうちセブンイレブンが約8割を稼いでいるそうです。
それに対し、スーパーのイトーヨーカ堂は、売り上げも営業利益も前年同期を下回っています。「国内の店舗数の増加」レジカウンターで販売する入れたてコーヒー「セブンカフェ」
高品質プライベートブランド商品「セブンプレミアム」がセブンイレブンの好調の原因とされています。
セブンイレブンは商品改廃の早さでは有名で、オリジナル商品の8割をリニューアルするなど大規模な見直しを過去に行っています。また、衣料品やシャンプーなどの日用品まで取り扱い、品ぞろえの幅を広げています。しかしやはりセブンイレブンで目立つのは食品ですよね。周囲にもセブンイレブンの食べ物は美味しいという女性が多い気がします。
今回は人気のセブンイレブンの食品を取り上げ、そこから感じたことを書いてみます。
通常の倍近い価格でも美味しいものは売れると考えた「セブンプレミアム」
知名度が高く、全国のどこでも購入することができる、固有名詞としての商品名を持った、国民的なブランドをナショナルブランドと呼びます。一例をあげればキッコーマン醤油やキユーピーマヨネーズですね。
それに対し、販売する側の大手小売業者が企画して作られた独自のブランドが、プライベートブランドです。
小売企業とメーカーが共同開発することで、商品流通のコストや広告宣伝費などを抑えることができるため、商品を安く提供できるようになると、一般的には言われています。
セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランド「セブンプレミアム」が人気を博しています。業績が好調な要因の一つにこのプライベートブランドの強化があると言われています。
日本では、ナショナルブランドよりプライベートブランドは安いというのが常識です。しかし、セブンイレブンはこの常識を変えなければならないとしています。
顧客の半分は安い商品を望んでいるかもしれないが、残り半分の方はおいしいものを望んでいるとセブンイレブンは考えており、「最高の品質のものを提供する」をプライベートブランドの新しい常識としたいそうです。
共同開発する場合、まず価格のことばかり言われるのに、セブンイレブンは「値段はいくらでもいいから、最高の品質のものを」と要求してくると、メーカー側はビックリしていたそうです。セブンイレブンで発売されている「金の食パン」は通常の250円と通常の2倍近い価格でありながらよく売れており、他の続々と登場する新しい商品も値段が安いうえにクオリティも高いと好評なようです。
またセブンプレミアムの中でも付加価値の高い商品をそろえた「セブンゴールド」も展開しています。
小売業にとって粗利率が高く、重要な商材であると同時に、自社のブランドを消費者にアピールすることもできるのがプライベートブランドです。これを上手に利用しているのがセブンイレブンの強みの一つと言えるでしょう。
ナショナルブランドとプライベートブランドの割合は?
プライベートブランドであるセブンプレミアムを拡充しているセブンイレブンですが、ただ品目を拡大させるだけではないようです。
プライベートブランドばかりを店舗に並べたのでは、商品を選ぶ楽しみがなくなってしまうとして、セブンイレブンはナショナルブランドとプライベートブランドとの品ぞろえのバランスに苦心しているそうです。
例えば、セブンイレブンがターゲットとするシニア層は、使い慣れたナショナルブランドを選ぶ傾向が強いため、キッコーマン醤油やキユーピーマヨネーズといった強いナショナルブランドが存在するしょうゆやマヨネーズなどの調味料は、プライベートブランドだけでなくナショナルブランドも並べて置く一方で、強いナショナルブランドの少ない総菜コーナーにはセブンプレミアムの総菜ばかりを置いてあります。
つまり、分野ごとにプライベートブランドであるセブンプレミアムと、ナショナルブランドのバランスを変えているのですね。
セブンイレブンのコラボ商品
セブンイレブンはプライベートブランドだけでなくコラボ商品も手がけています。
スイーツ好きの女性を中心に秋冬のアイス需要を掘り起こしたいと、低価格で有名な「ガリガリ君」の赤城乳業と共同で新商品のアイス「スイーツなガリガリ君 イタリア栗のクリーミーモンブラン味」(税込170円)を作り、一部を除く全国のセブンイレブンやイトーヨーカドーなどで発売するそうです。
柔らかな洋菓子をガリガリ君で表現するため、モンブラン風味のアイスとホイップクリーム風味のかき氷と、細かく砕いた栗のソースの3層構造でできているそうです。とても手が込んでいますね。60円ちょっとのガリガリ君が170円?とちょっと驚きますが、そのインパクトと味で、売れるかもしれませんね。
日本の水に着目し成功したセブンカフェ
2013年、セブンイレブンが展開したセルフ式のドリップコーヒー「セブンカフェ」を機に、コンビニコーヒーは一気に浸透しました。2013年からではなく、実はセブンイレブンは30年も前から入れたてコーヒーの販売を手掛けてきました。
しかし、4度目まではどれも失敗し、店頭から姿を消しました。ドリップ式を採用したセブンカフェは5度目の挑戦でした。ヨーロッパの水は硬水であったため、コーヒー成分を圧力で溶かすエスプレッソ式が発達しました。
2001年から2002年ごろのスターバックスブームに乗じて導入されたエスプレッソ式のマシンでは風味が物足りないためか、日本のコンビニでは定着しませんでした。
そこで、日本の水は軟水であり無駄な圧力をかけないドリップコーヒーが合っているとし、セブンカフェではドリップ式を採用し、成功したそうです。
朝の忙しい通勤時間でも速やかに風味の良いコーヒーが入れられるよう、豆のひき方やお湯を通過させるスピードなどの調整を繰り返しながら、開発段階で何度もマシンを試作したそうです。
セブンイレブンに導入されるとなれば、その販売規模は全国数万台にも及び、コーヒーマシンのメーカーはコストを下げることができます。そのため、セブンカフェのマシンは、従来のエスプレッソ型マシンの約4分の1の価格で作ることができたそうです。
このようにコーヒーマシンのコストを抑えることができ、しかも1杯ずつ抽出する形式であるためロスも発生しにくいのがセブンカフェのメリットです。
ちなみに、損益分岐点は1日1店舗当たり40杯のラインで、現状はその倍以上の80杯以上を売り上げているそうですから、収益にもかなり貢献しています。
大きな日本のコーヒー市場と、ついで買い
ところで、日本人は一週間にどれだけコーヒーを飲むのでしょうか。全日本コーヒー協会によれば、中学生から79歳以下の日本人は、1週間に1人当たり10・7杯飲むそうです。セブンイレブンが4度の失敗を物ともせず開発を続けてきたのは、この日本のコーヒー市場の大きさにあるのですね。
また、見逃せないのがついで買い。
セブンカフェ利用者のうち2割は一緒にサンドイッチや菓子パン、スイーツを買っていくそうで、今後はコーヒーと一緒に買われる頻度の高い焼き菓子などの開発も強化していくそうです。
40年間、自らコンビニ弁当を試食し続けてきたセブンイレブン
セブンイレブンの品質や味のチェックはかなり厳しいそうです。
チャーハンを大量に作るとベタベタしたものしかできないため、チャーハンの販売を一旦中止し、その後1年半かけてチャーハンを作る機械を新しく開発したそうです。
また、赤飯を販売するために新しい設備を作ったり、おにぎり一つにも味を大切にしてきたりしたそうです。
セブンイレブンの商品が美味しいと人気があるのは、この厳しいチェックを、小売業をやっていれば当たり前だと40年間続けてきたためと言われています。
世の中はつねに変化している 社長のことば
セブンイレブンの事を調べているなかで、非常に共感できたのが、セブンイレブンの実質創業者であり、40年以上トップであった鈴木敏文会長兼CEOの「セブンイレブンの将来の姿をどう考えているか」という問いへの答えです。以下に引用してみます。
「変化対応だ。世の中はつねに変化している」「東日本大震災だって誰が予測できたか。起きたことを受け入れて、つねに対応できる体制を作っていく。それが将来に対する考え方だ」「われわれの課題は、新しいものをどこまで出していけるかという、人間の心理への挑戦だ」「おいしいものを食べたいが、明日はまた違ったものを食べたくなる。それが人間の心理だ」「この人間の心理を少しでも満足させるのが、われわれの仕事。これが行き詰まったときが敗北だ」
世の中はつねに変化し、人間は新しいものを求め続けます。それに対応するために、企業は変わり続けなければなりません。そうしなければ企業は死んでしまいます。それはコンビニだけでなく、IT業界でもどこでも同じ。
生き残るためにも、これからも常に変化し続けなければと、改めて思わされました。
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(次回につづく)
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