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Amazonが特許をとった「予測出荷」ってどんなもの?

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.96
「Amazonが特許をとった「予測出荷」ってどんなもの?」2014.05.23

【1】4コママンガがとうとう100回目に!

クレアネットの谷です。
うちでは4コママンガをできるだけネットに詳しくなくても わかるような内容で面白おかしく書いているのですが、 この金曜日でとうとう100回になります。 1週間に1回なので、52週が1年だから、2年弱、 いろんなネタをお届けしてきましたが、100回続くものですね。

■ 4コマでわかるWebマーケティング

漫画で伝わることはたくさんありますし、私が今でも歴史好きで日本史詳しいのは漫画の日本の歴史20巻を小さいときから読みまくったおかげと思ってます。
そんなこんなで100回続いたことに、 スタッフみんなや、研修生だったり、インターン生も 手伝ってもらったことなどに感謝です。特殊な能力は素晴らしいことですが、長時間続ける根気も素晴らしいことだと、最近くらいになってようやくしっくり自分でも納得して理解できるようになりました。
そう考えると、こち亀の秋本先生はすごいです、 もちろんゴルゴのさいとう先生も。
やはり情熱ですね。 面白いものを伝える、ファンに届ける、こんな熱いものが あれば続きます。 そういえばこのメルマガも今回96回目。

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第99話 ヒアリングが大事

■ 第98話 IEの脆弱性

「こんなネタも書いてほしい!」などあればお気軽に
スタッフまでお声かけください。

【3】Appleの特許と、流行に流れること

■ Amazonが特許をとった「予測出荷」ってどんなもの?

安くて、速くて、便利なAmazon。 商品が安く、送料無料で配達されるのも速いので、 利用したことがある人も多いでしょう。
しかし、日本における2013年の売上高が76億ドルを超えていながら、 「本拠のあるアメリカに納税しているから日本での納税義務は無い」 という立場をとっており、それが気に入らないから利用したくない、 という人もいたりします。
先日、実際に、自民党参院議員で自民党女性局長の 三原じゅん子議員によって、日本国民の税金で整備 された道路や橋やトンネルといったインフラを利用して 商売を行ない日本で大もうけしているのに納税は 回避しているとして批判されたりもしています。 まあ租税に関しては国同士のいろんな問題もあるので、 この批判が必ずあってるとかあってないとか言えないものもたくさん ありますが。
で、このように批判されることも多いAmazonですが、 名実ともに楽天と並ぶ通販サイトであることに疑いの余地はありません。 「インターネット上の商取引の分野で初めて成功した企業の1つ」 と言われる実績もだてではありません。 Amazonは新しい技術へのチャレンジ精神も旺盛で、 ヘリコプターのようなプロペラを複数持つ、無人で電動の、 別名 “octocopter”を利用してより早く配達するという 実験を行い、昨年話題を呼びました。 わかりやすく言えば、Amazonで注文すると小型の 無人ヘリコプターが商品を抱えながら家まで飛んでくる、 というものです。 難しそうですが、実現すればちょっと面白いですよね。 ちょっと前置きが長くなりましたね。
ここからが本題です。 そのAmazonが、昨年12月に、 「Method and System For Anticipatory Package Shipping」 (予測商品配送のための手法とシステム) という名称の特許を取得しました。 この特許は、ユーザーがきっと注文するであろう商品 を予測し、購入ボタンをクリックする前に出荷 してしまおうというものです。 『Amazonで注文しようと思っていたものがいつの まにか発送されていた』 では何を言っているのかよく分からないし、 単なる「押し売り」のようにも思えます。 いったい、どういうシステムなのでしょうか。 今回のメルマガではこのAmazonの「投機的出荷」 (予測出荷)についてまとめ、感想を書いてみました。

■「予測出荷Anticipatory shipping」とは

Amazonのような通販サイトを利用するか、 それとも実店舗まで出向くか。 商品をどちらで買おうかユーザーが迷ったとき、 その判断にはまず「価格」が大きく影響します。
そしてそれと並んで大きく影響を与えるのは、 「通販サイトで購入した場合、商品はいつ家に 届くのか?」です。 購入ボタンをクリックしてから実際に商品が届く までの時間、いわゆるリードタイムが長くなれば なるほどキャンセルも多くなるため、配送時間を いかに短くするかが通販サイトでは重要になってきます。 「通販サイトのほうが楽だし値段も少し安いけど、 家に届くまで3日もかかるから、自分で実店舗まで 買いに行くことにするよ」 といったこともよくあります。 このAmazonが取得した特許にある 「予測出荷Anticipatory shipping」とは、 ユーザーが何を買うかを予測し、その購入される 可能性が高い商品を、ユーザーの住居付近の大型倉庫や トラックまであらかじめ運んでおき、 配送時間を短縮するというもののようです。

■予測出荷のメリットとデメリット

「そこまでして運んでおいた商品を ユーザーが注文しなかったらどうするの?」 という疑問が当然、浮かんできます。 そうなれば、Amazonは骨折り損のくたびれもうけですよね。 ですが、特許中でこう示唆されているそうです。
「ユーザーの近くに運んでおいた商品が注文されなかった場合、また輸送しなおすよりも、 無料でユーザーにプレゼントしてしまった方が、 費用対効果が高いかもしれない」 予測があたらなかったからといってわざわざ また商品を輸送しなおすよりも、ユーザーに サプライズでプレゼントしてしまった方が、 コストが低いと言うのです。 ……ちょっと驚きますよね。 また、こうした予測出荷が実際に展開された場合、 在庫管理の改善にもつながることもあると特許は うたっているそうです。

■ビッグデータを有効活用して行う予測出荷

しかし、ユーザーが今後注文する商品を、そこまで高精度に予測することなどできるのでしょうか。
ここで思い出されるのは、Amazonの最大の特徴である 「レコメンデーション機能」です。 これはユーザーの過去の購入履歴や購入パターン、 閲覧した商品ページ、閲覧していた時間、購入 ボタンの上のマウスカーソルの滞在時間といった、 いわゆるビッグデータからユーザーの趣味や嗜好 を探り出し、それに合う商品を「おすすめ商品」 としてトップページやメールで提示する機能です。
分かりやすい例で言えば、あるマンガを1巻から 9巻まで購入しているユーザーに、最新刊の10巻 を推奨したりします。 Amazonのレコメンデーション機能は非常に優秀で、 レコメンデーションの実用レベルの最先端と見られています。 また、Amazonは技術の進歩にも余念がありません。 Amazonはレコメンデーション機能で培ったビッグ データを分析する技術をこれからも発展させ、 予測出荷においても活用していくつもりなのだと思います。 そして、それだけの高精度な予測も可能になる という自信があるのでしょう。

■アメリカと日本の配送事情

しかし、Amazonを利用したことのある日本人 にはまたひとつ疑問が浮かびます。 Amazonで注文した場合、追加料金を払わずとも、 注文した次の日か、翌々日には配達される ことがほとんどです。 そこまでして配送時間を短縮しなければ ならないものなのでしょうか。 この疑問には、日本とアメリカの配送事情 の違いが関わってきます。
日本と違ってアメリカは国土が広く、 人口密集地域が離れているため、商品が 配達され家に届くまで、かなり時間が かかります。 その上、日本とは違って早く配達して 欲しい場合の「お急ぎ便」も、アメリカ では結構な額がかかってしまうそうです。 予測出荷と言われると、買った商品がすぐ届く日本では、 「欲しがりそうなモノを選んで近くまで持ってきてやったから買えよ」 と押し売りされているような印象を受けますが、配送に時間のかかるアメリカでは、「欲しがりそうなモノをすぐお届けできるようすでに近くに待機させてありますよ」 と気配りされている印象を受けるのかもしれません。
ですから、予測出荷が実施された場合、日本よりもアメリカの方でより歓迎され、受け入れられるかもしれません。

■Amazonとはどんな会社?

名称のAmazonとは、世界一の流域面積を誇る Amazon川にちなんでいます。
Amazon のロゴにあるaからzに向かうように描かれた オレンジ色の弧線は矢印になっていて、単なる 笑顔を意味するだけではなく、”from A to Z”、 つまり「何でも揃う」という表現だそうです。 Amazonは、商用インターネットが始まった頃から 着々と手を打っていて、1999年にはユーザーの 個人情報を初回購入時にcookieに登録することで 次回からは簡単な手続きで決済が可能になるシステム、 いわゆるワンクリック購入の特許を取得しています。
このワンクリック特許のために、他社のeコマース 業者は同様の機能を使うためにはライセンス しなければならず、Amazon.comはインターネット によるeコマース市場で膨大なシェアを獲得するに至りました。 2007年には電子書籍リーダー「Amazon Kindle」と 電子書籍販売サービス「Kindle Store」を発表し、 電子書籍を普及させました。 こうした、未来のビジョンを見通す経営戦略で 成功してきた会社であり、今では流通やクラウド サービスも手がける、単なるネット通販企業の粋 を超えた巨大企業に成長しています。 こんなAmazonのやろうとしていることだからこそ、 注目を浴びるし、 「もしかしたら本当に実現されるのではないか?」 という期待があるのかもしれませんね。

まとめ

Amazonの「予測出荷」はビッグデータを活用した 面白い手法だな、と感じています。
「必要なものを安く早く提供する」という 顧客至上主義を第一に掲げているAmazonだからこそ、 予測出荷を考えついたのかもしれません。 先ほど述べた、ユーザーの趣味や嗜好を分析して 「おすすめ商品」を提示するAmazonの レコメンデーション機能は、まさにビッグデータの 有効活用ともいえる仕組みですが、本来は心に 秘めておくような個人の趣味嗜好や思想信条、 性的関心まで収集されてしまうという危惧をユーザーに抱かせます。
そういった情報を集めすぎているのではないかと、 プライバシーの観点から問題提起されることも過去にはありました。 今回の「予測出荷」でも、同じようなことを言われています。
しかし、レコメンデーション機能の技術がもっと発展し、 それを利用した予測出荷が本当に実施されれば、 今までのeコマース市場や通販サイトをさらに便利に、 楽しいものに進化させてくれる可能性があります。 通販サイトのトップページに、見事なまでに自分の 趣味に合う、一目で欲しくなるような商品が 「すぐにお届けできますよ」という文字つきで表示され、 購入ボタンをクリックすれば、1時間もかからず無人 の小型ヘリコプターが玄関にブーンと飛んできて商品 を運んでくれるなんて世の中になれば……。
昔は大事なことは電話で話す、 些細なことはメールで伝える、でしたが、 大事なことは忘れないようにメールで送るのが普通ですし、 履歴を残す意味でも電話などの会話も大事なもののメールが 重宝されます。 時代と共に何でも変化です。

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