『SEOマーケティングの未来を読む vol.155』
運営しているのか不思議なWikipediaについてのあれこれ
【1】南紀田辺UMEロードマラソン
大阪マラソンはいちおう終わりました。
無事完走もしまして、タイムもまあ3時間代出まして、ほっとひといきなんですが、止まってはいられない。
さらにマラソン次のレースはどこなのか?とよく聞かれるので決めました。
・梅の花が咲きみだれ、梅の香りがただよう街道を駆け抜けるコース。
・温暖な南紀のすばらしい季節と梅を心と体で体験し、『自然の味・自然の美味しさ』を五感で味わっていただけます。
・参加者には、本場紀州の梅干しとTシャツを差し上げます。
紀州の梅干し、南高梅です。南高梅。地元の梅干です。
どこ走るんだと見てみると、地元民からすると
「結構坂がきつそうな感じがする・・」
場所ですが、何にせよ地元の大会は楽しみです。
また結果はメルマガにて発表します。
【2】 WEBマーケティング4コマ漫画
◆第225話
PPAP
流行のアレを呉くんもするようです。
◆第224話
有名人の実家
グーグルマップは便利な反面こんな問題も…
◆第223話
Aのつく企業
呉くんがいきなり社名変更の提案を出しましたが…
【3】Wikipedia
「想像してみてください。すべての、1人1人の人間が、すべての持ちうる知識を持ちより、自由に分かち合える世界を」
創設者であるジミー・ウェールズのこうした理念を基につくられたのがWikipediaです。
ハワイ語で“速い”を意味するウィキと、百科事典を意味するエンサイクロペディアから命名されたWikipediaは、毎月5億人近い世界中の人々からパソコンやスマートフォンで利用されています。
何かをちょっと詳しく調べたいとき、パソコンやスマートフォンでWikipediaのお世話になっている人は皆さんの中でも多いのではないでしょうか。
このWikipedia、最近あることでちょっと話題になっています。
Wikipediaを利用しようとするたびに、ユーザーの前に現れる寄付を呼びかけるメッセージ。
このメッセージが過剰になっているというのです。
いま話題になっているこうした寄付のことだけでなく、
「なぜ無料で利用できるのか」
「この便利な百科事典はだれが編集しているのか」
「どのような仕組みで運営されているのか」
「信憑性はどれほどなのか、誤報はないのか」
などなど、日々なんとなく利用しているWikipediaについて疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。
今回のメルマガでは知っているようで知らないWikipediaについて調べてみました。
Wikipediaってどんなもの?
「誰もが無料で閲覧できる世界最大のオンライン百科事典」
Wikipediaを一言で表すならこうでしょうか。
Wikipediaはアメリカの非営利組織Wikimedia財団によって運営されており、この財団の名誉理事長は創始者かつプロジェクトリーダーでもあるジミー・ウェールズです。
2001年に英語版から始まった、情報量も少なく偏向した記事も多かったこのオンライン百科事典は、10年と少しの間に世界中に広がり、2016年で使用言語は約300、総記事数は約4000万、英語版の総記事数は約500万、
日本語版の総記事数は約100万、月間約160億PV(各ページが160億回閲覧されているという意味)という、世界中から月間5億人がアクセスする世界で5番目(日本では9位)に人気のある超大手サイトへと成長しました。
Wikipediaは今こうしている間にも発展しており、1日100本のペースで新規記事が追加され、過去の記事の修正や追加も行われています。
天文学者ノーマン・ロッキャーによってイギリスで創刊された世界的に有名な総合学術雑誌「ネイチャー」でもWikipediaは調査されており、2005年に掲載された記事では、
「Wikipediaの正確性はブリタニカ百科事典とほぼ同等」とされたそうです。
英語で書かれた百科事典としては最古のものであり、学術的に高い評価を受けているブリタニカ百科事典と同等というのですから、すごいですね。
信頼度の高い情報を膨大に有するWikipediaは、他のオンライン百科辞典の追随を許さない存在と言えるでしょう。
Wikipediaの特徴
Wikipediaの特徴とはどのようなものかを箇条書きにしてみます。
「誰もが無料で自由に閲覧できる」
「誰もが匿名で自由に編集できる」
「著作権上問題がある記事の削除などの管理業務もユーザーが行う」
そして今回のテーマで最も重要なWikipediaの特徴が
「広告を一切掲載せず寄付で運営している」
という点です。
なぜWikipediaは広告を一切掲載せず寄付で運営しているのか
Wikipediaが広告を掲載せず寄付で運営する理由はなんでしょうか。
Wikipediaにはこのように書かれています。
「Wikipediaはいかなる広告宣伝活動も受け入れておりません」
「百科事典の項目として適切であるものだけを受け入れております」
広告を掲載しその広告料で運営する場合、スポンサーである企業に不利なことなど掲載しにくくなるでしょうから、記事の公平性を保つために寄付による運営を選択したようです。
このWikipediaの選択により、ユーザーは広告に煩わされることなく、公平性を保った記事を閲覧できるというわけです。
そもそもWikipediaの創設者であるジミー・ウェールズが広告掲載に強く反対しており、設立から現在までその考えは一貫しているようです。
「広告自体が悪いわけではない、しかしWikipediaにとっては良いことではない」
「世界中の誰かがWikipediaのようなフリーカルチャーを維持するために、単純に広告を掲載するよりももっとクリエイティブな方法を思いついてくれる事を期待している」
「私達は生き残る為に広告を受け入れる必要があるのかという話にはならない。この答えは明確に “no” だ」
こう、ジミー・ウェールズは語っています。
Wikipediaの運営費
記事の編集や管理は一般のユーザーが無償で行っているためか、Wikipediaは世界で5番目に人気のある超大手サイトでありながら、そのスタッフ数はたったの300人ほどだそうです。
この人数ならスタッフの給料といった人件費は安くつきそうなものなのですが、月間5億人が訪問するWikipediaのサーバーの維持といったシステム管理費や、Wikimedia財団への訴訟などに対応するために寄付金の大部分が消えてしまうようです。
だんだん露骨になっていくWikipediaの寄付の要求
「ジミー・ウェールズからのお願いです」
「コーヒー一杯の金額でいいから寄付してほしい」
「700円寄付してくれたらこのメッセージは消えます」
「寄付してくれたら広告を掲載せずにもう1年活動できるのです」
Wikipediaを利用したことのある人なら、一度は上記のような内容のバナーが現れるのを見たことがあるでしょう。
以前から時折現れるこのバナー、出現頻度が高くなり、面積も大きくなり、存在感を増しているとちょっとした話題になっています。
パソコンならまだしも、スマートフォンのブラウザでみた場合は画面全体に覆いかぶさるほどの面積になっていますから、さすがに邪魔すぎると不満を抱く人が多いようです。
ちなみに一度寄付をすると、メッセージが消えるどころか、Wikimedia財団事務長などから更なる寄付の催促のメールが来たりするようです。
Wikipediaによせられた寄付金はどれくらい?
Wikipediaのユーザーのうち寄付をする人間はほんの一握りでしょうが、それでも膨大なユーザー数がいるためか、1回で集まる寄付は10億円以上だそうです。
2007年には運営資金の不足により閉鎖の危機にあると公表し、2010年にはグーグルから約1億7000万円もの寄付金を受けとるような財政難だったようですが、2011年に行われた大規模な「寄付のお願い」が功を奏したのか、50日間で140カ国から約50万件の寄付が集まり1600万ドルの資金調達に成功したと発表されています。
良質な記事のためにWikipediaがしていること
記事の編集すら匿名で行うことのできる手軽さと自由さがWikipediaの大きな特徴です。
これはメリットでもあり、またデメリットでもあります。
匿名で自由に編集できると言うことは、それは記事の信頼性は保証されないことを意味し、デメリットともなります。
知識の乏しい人間によって記事が編集された結果、記事が間違った内容を含む程度の低いものになってしまったり、偏向した人間がプロパガンダに利用したりするケースもあります。
こうした点を鑑み、近年ではユーザーが記事内容を検証できるように、情報源を記事に明記するという制度が採用されるようになりました。
また、投稿や編集記述を監視し、悪意のあるいわゆる「荒らし行為」には自動的に修復するなどの対策も講じているそうです。
Wikipediaで実際にあった事件
「Bicholim conflict」(ビコリム戦争)という架空の戦争の記事がWikipedia英語版に約5年もの間掲載され続けていたことがあったそうです。
17世紀にインドで起きた戦争という設定で愉快犯によってWikipediaに掲載されたこの記事は、詳細な記事ともっともらしい写真によってさも本物かのように見えたためか、虚構であることが指摘されてから削除されるまで、5年もかかったそうです。
またWikipediaが爆破予告や殺害予告といった犯罪予告に使われ実際に逮捕者が出たケースや、自己の主張を押し通したいユーザー同士が、特に政治性の高い記事において、編集合戦を繰り返すケースなども頻発しているようです。
Wikipediaで行われているステルスマーケティング
また、ステルスマーケティングの問題も見逃せません。
企業がステマ業者に依頼し、自社に都合のよい偏った情報をWikipediaに記述する、といった行為も横行しているそうです。
当然、利用規約に反する行為としてこうしたステマ行為は禁止されており、ステマ行為が発覚したユーザーアカウントを利用停止・禁止に処するなどの措置を行っているようですが、それでもステマ行為を駆逐することは出来ないようです。
手軽に情報を得ることのできる反面、そこに記載されている情報の真偽を見極める目が必要とされるのかもしれません。
まとめ
大手サイトとしてはありえない、寄付と言う方法でなりたっているWikipedia。世界のサイトのアクセス数トップ10の中で、Wikipediaのみが唯一非営利だそうです。
「記事の独立性や中立を守るため、広告の掲載を受け付けないWikipediaのスタンスはわかるが、こんなに寄付寄付とうるさくて邪魔なバナーを貼るくらいなら、もういっそのこと広告を掲載すればいいのではないのか」という声も少なくありません。
Wikipediaに限らず、Gmailに代表されるフリーメールといったような無料のサービスがインターネットには溢れており、インターネット上のサービスは無料で当たり前であるかのように錯覚してしまうほどです。
ですが、完全に無料で質の高いサービスを提供などできるわけがないのですよね。
企業は生き残るために変わり続けなければならない、と持論をもっているためか、企業の変化というものが気になり、そこに注目するようにしています。
が、変えてはいけないスタンスや理念もあると思います。
Wikipediaにとって「広告の掲載はしない」というスタンスは、変化させるべきものなのでしょうか、守るべきものなのでしょうか。
Wikipediaがこのまま寄付で運営していくのか、広告を掲載するようになるのか、それともジミー・ウェールズが言うように
単純に広告を掲載するよりももっとクリエイティブな方法を誰かが思いついてくれるのか。
私見なんですが、このまま寄付で運営はしていくような。
寄付を受ける側の運営元の立場で、少し活動を行った経験からすると
「寄付が必要なんです!助けてください!」
と助けを求めた場合、私程度のものであっても例えば
・卒業した高校など母校在校生の援助
・地元市役所などの故郷への貢献
・よりよい業界への協力
などは微々たるものでも寄付します。wikiが全力で寄付募ればたぶんとんでもない金額が集まるような。
たぶんですが、たぶん。
(記載 谷 美輝)