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口コミを消してほしい店側の主張。食べログ裁判

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『SEOマーケティングの未来を読む vol.151』
口コミを消してほしい店側の主張。食べログ裁判

 

【1】 試験勉強を行う中で発生するいろんなトラブル

朝夕涼しくなってきまして、ようやく秋の気配です。
秋の夜長ですが仕事しながらラジオでFM802かけてるのですが、落合健太郎さん、略してオチケンさんのラジオがまた面白いんです。

ラジオリスナーからのリクエストなど紹介してくれるのですが。

「おちけんさん聞いてください!試験近いけど全然頭に入ってこないんです、公衆浴場距離制限訴訟、三菱樹脂事件判決、など言葉がややこしい!」

「ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!」を聞いてると、なぜか法学部生じゃないですか。確かに判決名なんて頭に入らないものです。

といっても世界史のフビライハン・チンギスハンとか何代目か忘れるし、日本史の文化史とかきつかったものです。

× 「こころ」⇒正岡子規 ○ 夏目漱石 などです。

そんな法学部の勉強をちょっぴり思い出す、今回は訴訟系に関する話です。

 

【2】 WEBマーケティング4コマ漫画

◆第217話
寿限無じゅげむ
呉くんが電話をしてますが…?

◆第218話
イノベーター
最近は電子書籍が当たり前になってきましたね。呉くん達は使っているのでしょうか?

◆第219話
社員数の数え方
呉くん達が社員数について話しています。

 

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【3】口コミを消してほしい店側の主張。食べログ裁判

今回は食べログさんの話です。

最近でもいろいろ賑わってましたがその辺の話ですが、基本食べログ好きなので結構食べログで見てなんとなく評価も見て懇親会会場を決めたりするのは私だけなのでしょうか。私だけではないと思っていますがどうでしょう。

で食べログさんの話。

仮に、飲食店を経営していたとしましょう。

そしてもし大勢の人間が利用しているレビューサイトに自分のお店を「マズい!」と書かれてしまったら……あなたはどうしますか?

飲食店の利用者が感想を書き込むユーザー投稿型の飲食店情報サイト「食べログ」の口コミに「マズイ」「遅い」と書き込まれたせいで客が激減したとして、2013年に札幌市内の飲食店経営会社の男性が食べログを運営するカカクコムに削除を求め訴訟をおこした事件がありました。

客足に悪影響を及ぼすレビューをなんとかして削除させようとする気持ちはよくわかりますよね。

しかし現実は厳しいようです。

2016年5月31日付の最高裁の判決で原告の請求が棄却されたのです。

口コミによって損害を受けたと店側が食べログを提訴したものの、口コミの削除は認めない、と最高裁が判断し業者が敗訴したという結果になったのです。

今回のメルマガはこの食べログ問題を通してレビューサイトについての話です。

 

「食べログ」とはそもそもどんなもの?

東京渋谷区に本社をおく、資本金7億8500万円、設立1997年の価格比較サイト大手のカカクコムが運営するグルメサイトが「食べログ」です。

食べログのレビューは登録会員の口コミや彼らの投稿した感想や写真で構成されています。

住所やメニューなど全国約60万の飲食店情報が掲載されるだけでなく、各店舗の料理やサービスは5段階で評価されており、内容が充実していることから月に約1800万人が利用しているそうです。

世界最多を誇る読売新聞の発行部数が約1000万部であることを考えれば、食べログが客足に及ぼす影響力は無視できないと言えるでしょう。

あなたも、どこかお店に行く前に一度は食べログなどのレビューサイトで調べてみたことがあるでしょう。

 

飲食店vs食べログ……裁判の発端は

訴訟に至った経緯からまずみてみましょう。

2012年、札幌市内の飲食店経営会社の男性は食べログに自らが経営する飲食店の情報を掲載。

しかし「美味しくない」「料理が出てくるのに40分もかかった」と批判的なクチコミを書き込まれ、その直後から客足は激減。

男性は食べログから店情報そのものと口コミを削除するよう、カカクコムに要請。

しかしカカクコムはこれを拒否。そのため男性は2013年に「店舗情報の削除」と「損害賠償220万円」の支払いを求め訴訟を起こしたのです。

 

専門家の意見「削除認められるのは相当困難」

こうしたケースで店側は口コミを削除させることができるのか。

専門化であるインターネットでの誹謗中傷や名誉毀損問題に取り組む最所義一弁護士によると、削除などを求めることは難しいそうです。

・削除が認められるためにはクチコミが「違法」であることが条件
・その条件を満たすには「投稿に公共性あるいは公益目的がない」「投稿自体が虚偽」であることが必要
・レビューサイトである以上「投稿に公共性あるいは公益目的がない」とは言いがたい
・「美味しくない」などという個人の主観にかかわる事を「投稿自体が虚偽」と明らかにするのは困難

また、ライバル店による嫌がらせなどであれば公益目的に反するとして違法性を問える可能性はあるものの、立証するのは非常に困難なのだそうです。

また、日本の裁判では表現の自由が重んじられる傾向があるため、サイト運営者自身の責任を問う場合、店側が虚偽だという明らかな客観的証拠を示したにも関わらず削除に応じず放置した、というようなケースでなければ難しいそうで、結局、訴えた所で割に合わないの だとか。

こうした現状を見る限り、見ている人間が眉をしかめるような罵詈雑言などでなくては、違法性を問うことはかなり難しいと言えます。

今回の訴訟に関して、専門家でない人々の間でも話題になり、色んな意見が出ていました。

「本当に美味しいのなら否定的なレビュー以上に肯定的なレビューが載るはずだ」といった意見や、「美味しくないといったような主観を許さないとなるとレビューサイトはすべてダメということになる」といった意見が多かったようです。

 

口コミ削除を求めるも店側敗訴……裁判の経緯

「美味しくない」「料理が出てくるのに40分もかかった」などの食べログの口コミで損害を受けたとして飲食店経営者が運営会社であるカカクコムに投稿や店舗情報の削除と損害賠償を求めた裁判の経緯を簡単に説明していきましょう。

2014年、1審の札幌地裁ではこのような判断が下されます。

「原告の請求を認めれば、情報が掲載される媒体を選択し、望まない場合は掲載を拒絶する自由を原告に与えることになる」

「他人の表現行為や得られる情報が恣意的に制限されることにもなり、容認できない」

要するに、削除を認めてしまうと他人の表現行為などが制限されるという理由で店側の請求を棄却しているわけです。

店側はこれを不服として控訴。

2審の札幌高裁も1審を支持した上で、「一般人向け飲食店は、客の評判で損失を受けることも甘受すべきだ」

「店の意に沿わないという理由で情報を削除すると、消費者の利益を害する」

とし、最高裁判所でも1、2審と同様に口コミの削除は認めないと判決がくだり、業者の敗訴が確定しました。

たくさんの店の中でわざわざ評価の低い店や評判の悪い店を選ぶ客は少ないのですから、レビューサイトにどう書かれるかは死活問題にもなりかねません。

飲食店を運営する人間にとって今回の食べログ裁判は無視できないものだったのではないでしょうか。

 

2010年にもおきていた「食べログ訴訟」

2010年にも食べログに削除を求める訴訟、いわゆる「食べログ訴訟」がありました。

「食べログに店のメニューや写真などが利用者から投稿されたが店に連絡もなかった」

「その後、店の外装やメニューが変わったにも関わらず内容が更新されない」

「客に誤解を与えるとして4回も削除を要請したにも関わらず拒否された」

という理由で佐賀市の飲食店経営の男性が訴えた裁判です。

「内容は投稿者が食事した当時の状況であり違法性はない」

「最新の内容とは異なる場合があるとの注意書きもしている」

とカカクコム側が反論し、全面的に争う姿勢を見せていましたが、2011年にカカクコムが店の情報を削除し、飲食店経営者が訴訟取り下げに合意することで決着しました。

その裏で金銭の授受があったと言われていますが、その額や詳しい内容については両者とも口を閉ざしているため詳しいことはわからないそうです。

「詳細は話せないが、店を守ることができた」

佐賀市の飲食店経営の男性は後にこう話していたそうです。

 

ネット時代への問題提起となった食べログ訴訟

全国初であったこの「食べログ訴訟」はインターネット時代に生まれた新たなトラブルとして話題になり、飲食店を支持する声が多かったそうです。

「美味しくないといった都合の悪い口コミだけ消せ」というのはおかしいかも知れませんが、間違った情報や古い情報の削除を要請したり、良い情報も悪い情報も含めて店舗情報そのものの掲載を拒否したりする権利くらいはあってもいいのでは、という意見もでていたようです。

結果は和解に落ち着いたわけですが、もしこれが業務妨害として店舗側の勝訴に終わっていればどうなっていたでしょうか。

もしそうなっていれば、全国の飲食店オーナーが提訴を起こし、レビューサイトというビジネスモデルの存続すらおぼつかなくなっていたかもしれません。

 

月島もんじゃ焼き店のヤラセ問題

2012年にも食べログに関して、レビューサイトの抱える問題が露呈した事件が起こっています。

もんじゃ焼きで人気を集め、地域振興の成功例としても有名な東京都中央区の月島の商店街には「月島もんじゃ振興会協同組合」という月島のもんじゃ焼き店約60店が加盟する組合がありました。

その中のいくつかの加盟店の客足が急激に伸びたのを不審に思い、組合が調査を行なったところ、2店舗がやらせ業者に食べログへの書き込み依頼をしていたことを認めたのです。

このヤラセ業者による食べログのランキング操作はインターネット社会で起こるべくして起きた事件といえるでしょう。

不正業者は月10万円で5件、12万円で10件の口コミを書き込んでいたそうです。

行列ができるほど客足が伸びたのなら、ヤラセが一時的には有効であることの証左とも言えるかもしれません。

ユーザーとして食べログのようなレビューサイトを利用する場合、あからさまに褒め称えているレビューは疑ってかかるなど、ヤラセやサクラを見抜く目も必要なのかもしれませんね。

 

まとめ

最近も、

「食べログ」情報削除認めず 最高裁で判断確定 産経新聞 2016/06/02
記事がありました。

インターネットと飲食店運営と言えば、つい先日こんな事件もありました。
「どーしてこうも火曜日って暇なんだろうなぁって、ずぅぅぅっと思ってたんです」

と、とある中華そば屋の店主のTwitterでのつぶやきが話題になりました。

Googleに掲載されているこのお店の情報が「火曜日=定休日」と間違って掲載されていたため、お客が少なくなっていたのが原因だったそうです。

Googleによればこうした店舗情報はネット上の情報などを元に自動で生成されるもので、第三者が勝手に登録して嫌がらせしたということではないようです。

ページ上にある「このビジネスのオーナーですか?」をクリックし、はがきや電話でオーナー確認を済ませれば修正は行えるそうですが、これ店主は気の毒ですよね。

店主はインターネットをあまりしないため、Googleに定休日が間違って載っていることはアルバイトに指摘されて初めて気がついたそうです。

今回の食べログ裁判や、こういうケースをみていると、インターネットに興味がなく宣伝に利用する気もなくても、飲食店のオーナーはインターネットの利用がもう必須になっているのかもしれません。

多くの人間が情報収集にインターネットを利用し、多くの人間が匿名で自由に情報発信しているインターネット時代だからこそ、自分で情報を発信するなどを行ったり完全に情報を是正するほうではなく、玉石混合の情報社会を認識した上で正しい選択を行うような努力は必要なのではないかと思っています。

(記載 谷 美輝)

 

 

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