メールマガジン

プライバシーと犯罪捜査。AppleとFBI 

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『SEOマーケティングの未来を読む vol.149』
ICTの影響?タブレットPCを使った授業

 復習

【1】 オリンピックが終わり

感動のオリンピック終了しました。

サッカーは初戦のナイジェリア戦で引き分けで終わっていればまた違ったのかもしれないですが、残念でした。

あとは柔道日本は素晴らしい。
井上康生監督は同年代なので、何か親近感わくのと嬉しさがこみ上げます。

ちなみに、9月もうすぐパラリンピックがスタートしますが、このPVがすごくいいんです。

■ リオでのパラリンピック

■ ロンドンでのパラリンピック
https://www.youtube.com/watch?v=NY7Zp96jYZM

サッカーのブラインドサッカーも出てきますが、見るだけで元気もらえます、今日も頑張らねば!

 

【2】 WEBマーケティング4コマ漫画

◆第213話
マリオやドラえもん
呉くんがなんだか楽しそうです。何があったのでしょうか?

◆第212話
ピンポーンの音
おや?呉くんが広告についてイイコトを思いついたようです。

◆第211話
社会的証明の原理

呉くんはとあるキャッチに反応したようです。いったいどんな効果のある言葉でしょうか

◆第210話
ポケモンGO!
呉君は151匹ポケモン捕まえた?マナーを守ってポケモソG0!

 

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【3】プライバシーと犯罪捜査。AppleとFBI 

「プライバシー保護か犯罪捜査か」そんな事を考えさせられる事件が今、アメリカで起こっています。

iPhoneのロックを解除させてくれというアメリカ連邦捜査局(FBI)の捜査協力要請をAppleが拒否し、FBIとAppleの全面対決が勃発したのです。

事の発端は昨年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノ郡で14人が殺害される銃乱射事件でした。

犯人は射殺され、FBIは死亡した犯人からiPhone5cを押収。
しかしロックを解除することができず、FBIは犯人の事件前の行動を完全に追うことができませんでした。

そこでFBIはまずAppleにロックを解除できるOSを特別に作製するよう要請したのですが、Appleはそれを拒否。

そこでFBIは裁判所に訴え、カリフォルニア連邦裁判所を通して、FBIの捜査のためにiPhoneのロックの解除に協力せよとの命令がAppleに下されるようにしました。

しかしAppleはこの裁判所の命令をも拒否。

「多くのユーザーの情報にアクセスできるマスターキーを作るようなもの」

「顧客の安全を脅かす前例のない申し出」

「憲法で保障された表現の自由を侵害している」

とカリフォルニア連邦裁判所に裁判所命令を無効にすべきとの申立てを行ったのです。

Apple社はiPhoneなどに使用されているiOSのセキュリティに関しては、バージョンアップのたびに強化を進めています。

iOS8以降、すべての個人データは厳重に暗号化され、パスコードを入力しなければ、Apple自身ですらデータにアクセスできないようになり、iOS9ではパスコードが4桁から6桁にされ、より強固なセキュリティを確保できるようになったのもその好例です。

今回の事件は、AppleのiOSのセキュリティの高さの証明にもなっているのかもしれませんね。
今回のメルマガではこの事件をとりあげてみたいと思います。

 

イスラム国も関与か?「サンバーナーディーノ銃乱射事件」

2015年12月米カリフォルニア州サンバーナーディーノの障害者支援の福祉施設が襲撃され、パーティ中だった職員14人が殺害され22人が負傷するという銃乱射事件が発生しました。

銃撃戦で死亡した男女2人のうちの男性サイード・ファルーク容疑者が使っていたのが「iPhone5c(iOS9)」でした。

この容疑者はアメリカがテロ組織指定している過激派組織「イスラム国」のメンバーとこのiPhone5cを使って連絡を取り合っていた可能性があるとFBIは考えているようです。

また、誰かの指示で銃撃を行った可能性もあるとしています。

パキスタン系アメリカ人であるサイード・ファルーク容疑者は、犯行の2年前からひげを伸ばす、白く長いシャツを着る、家族でサウジアラビアに巡礼に行くなど、イスラム教に感化されている様子が見られていたそうです。

この事件の捜査だけでなく、今後のテロ対策のためにも、FBIは容疑者のiPhone 5cの内部のデータ全てを手に入れたいと考えるのは無理のないことかもしれません。

 

パスコードの解析法とその対策

まずパスコードをどうやって破るのか、という話からしてみましょう。
「ブルートフォース攻撃」と呼ばれるパスコードを解除する方法があります。何やらスゴそうな
名前ですが、Brute Forceとは

「力ずくで、強引に」

という意味で、可能な組合せを全て試すやり方です。

要するに、数字4桁のパスコードを解析する場合なら「0000」から「9999」まで1万通りの組み合わせを入力し続ける、という地道で膨大な作業量が必要になる方法です。

しかしセキュリティ専門家によれば、プログラムなどを利用したパスコードの入力1回にかかる時間は最速で0.08秒だそうです。
4桁の数字の場合、考えられるパスコードは1万個ですから、

0.08秒×10000=800秒、

つまりたったの13分程でパスコードを解析し、ロックを破ることができるのです。

6桁の数字の場合、考えられるパスコードは100万個になりますが、それでも22時間程で解析することが可能です。

しかしiPhoneにはブルートフォース攻撃を防ぐための機能が備えられています。

例えば、

パスコードの入力を7~8回間違えると15分間パスコードを入力できなくなり、

9回目では1時間入力できなくなり、

10回間違えるとiPhone内のデータ全てが暗号化されたまま二度と復元できなくなる、といった機能です。

 

Apple に対するFBIの要請

そのためFBIがAppleに要求したのが
「プログラムによるパスコードの自動入力の受け入れ」
「入力遅延と自動消去機能の解除」です。

要するにFBIは、パスコードを割り出すために容疑者のiPhoneにブルートフォース攻撃を仕掛けたいから高速なマシンでランダムに生成したパスコードを無限に入力できるようにして欲しい、と言っているのですね。

ただ、犯人がパスコードをデフォルトの「6桁の数字コード」ではなく、カスタムのより複雑な「6桁の英数字コード」に設定していた場合、

小文字だけでも22億個、大文字も含めると568億個の組み合わせが考えられますので、ブルートフォース攻撃を行った場合、パスコードを割り出すのに5年半から144年かかってしまう計算になってしまいます。

これではブルートフォースによる解析は現実味がないかもしれませんね。

 

FBIの言い分

FBIとApple、両者の言い分はどうでしょうか。
ジェームズ・コーメイFBI長官はAppleの裁判所命令無効申し立てについてこう語っています。

「理解できない」

「要求しているのは1台のiPhoneのロック解除のみ」

「他のAppleユーザーのプライバシー侵害を目的としたものではない」

今回の事件の捜査のためにこのiPhoneのロックだけ解除させてほしい、とFBIは言っているようです。

 

Appleの言い分

FBIに対するAppleの言い分はどうでしょうか。

テロリストや犯罪者に対して正義を追求する法執行機関の努力を強く支持する、とFBIの立場を理解する姿勢を見せながらも、Appleは捜査協力要請を拒否しています。

そのAppleの言い分が以下になります。

「これは、1台きりのiPhoneの問題ではない」

「政府は今回限りというがテロ以外の犯罪捜査でもロック解除を要求している」

(テロや犯罪捜査のためのロック解除の申し立てを米司法省は昨年10月以降15件も起こしているそうです)

「どんな場所にでも侵入できるマスターキーを作るようなもの」

「ユーザーのセキュリティを守るためのハイテク企業の努力がiPhoneのロック解除で台無しになる」

「一度作ってしまえば犯罪者や外国の情報機関に悪用される可能性がある」

「FBIの要求は全ユーザーのプライバシーを危険に晒す」

「アメリカのためにならない」

「表現の自由や言論の自由を侵害しており憲法違反だ」

(言論の自由と言われると「えっ?」と感じますが、過去の判例においてコンピューターのプログラムは「言論」として扱われているそうです)

今回のテロ事件に限った上で、というピンポイントの条件で捜査協力したとしても、それは結局全ユーザーの端末のデータのセキュリティを脅かすことにつながるのだ、と言っているのですね。

また穿った見方をすれば「Apple Pay」というスマートフォンを使った決済システムを普及させたいAppleの立場からすれば、

たとえ政府の要請といえどもユーザーのデータやセキュリティを売り渡そうとしない姿勢をみせることで信頼につなげたい気持ちがあるのかもしれません。

 

各方面からの援護射撃

Appleに対し、各方面から援護射撃が行われています。
幾つか取り上げてみます。

Googleのスンダル・ピチャイCEO「企業に対しハッキングができるように命じることは、利用者のプライバシーを損なう可能性がある」

Facebook傘下、ワッツアップのジャン・コウムCEO
「この危険な先例をつくることを許してはならない」
「今、私たちの自由と権利が危機に瀕している」

アメリカの諜報機関であるアメリカ国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)の長官を務めたマイケル・ヘイデン氏
「アメリカ人の安全とセキュリティに有害だ」

また関係者の話によると、Appleの立場を支持し、Googleの親会社Alphabet、Facebook、MicrosoftなどがAppleを支持する法廷助言書(第三者が被告のために裁判所に提出する意見陳述書)の共同提出を計画しているそうです。

 

「Apple製品をボイコットしろ」とiPhoneからツイートしたトランプ氏

大統領選で注目されている共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏。何かを言うたび話題になってしまう彼はFBI側に賛同しているようですね。

Appleは捜査に協力すべきだというスタンスから、彼は以下のような発言をしています。

「Appleは自分たちを何様だと思っているんだ?」

「裁判所の命令には従え」

「Appleがカリフォルニアのイスラム急進派に関する携帯電話の情報を当局に渡すまで、すべてのApple製品をボイコットしよう」

と、Apple製品のボイコットを呼びかけるツイートまでしています。
ところがiPhoneを使ってツイートをしているのがバレてしまい、ツッコまれる結果になってしまいました。
それに対する彼の反論は、

「iPhoneとサムスン端末どっちも使っている」

「テロに関して、もしAppleが捜査協力しないのなら、するまでサムスンしか使わないつもりだ」

うーん、負けず嫌いと言うかなんというか……。

(でもなぜ愛国者の彼がわざわざサムスンを使うと表明するんでしょうか?)

 

まとめ

iPhoneは世界中で5億台以上使われていると言われています。

また、日本は世界でも突出してiPhoneを利用する人が多い国ですから、対岸の火事ではないのかもしれません。

これからますます普及するであろうスマートフォンやそれを利用したサービスにも影響を及ぼすかもしれません。

アップルの売上は2015年28兆超え。うーん。

いろんな対立が生まれるのは当然といえば当然かもしれませんが、難しい問題ですよね。

(記載 谷 美輝)

 

 

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