メールマガジン

スマホの料金が安くなる?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

『SEOマーケティングの未来を読む vol.129』
「スマホの料金が安くなる?」

【1】 会社にご来社いただく際に

取引先さんなど来社いただくときによく言われるのですが、

「大きな看板ないから通り過ぎたわ!」

言う言葉です。すみません。

■ そんなわけで最近活躍しているこれ

「from the outside of the company」

グーグルクロームで一度ご覧ください、こんな感じの外観なんです。

背景に動画を埋め込んで見せるパターン、オシャレ感満載です。

【2】 WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第164話
共起語
WEBライティングは奥が深い!とあるキーワードを「共起語検索ツール」で調べると意外な結果が… 

■ 第165話
外資系クライアント
世の中には様々な専門用語がありますが、英語とIT・ネット用語の間には密接な関係があります。  

【3】「スマホの料金が安くなる?」

「スマホの料金が安くなる?」

「2年縛りがなくなる?」首相や総務省の提言の話などなど。

「1世帯あたりの家計のうち4.9%を占めるもの」とは、一体何だと思いますか?

答えは「通信費」です。

固定電話しかなかった時代に携帯電話が登場してから、それは瞬く間に生活の必需品となり、老若男女を問わず利用されるようになりました。

スマートフォンの普及と通信速度の向上、アプリの増加でサービスが拡充していることもあって、ここ10年で1世帯あたりの1年間の通信費は、16万2000円から18万8000円へと2割も上昇し、家計への負担も大きくなっています。

スマートフォンをついつい使いすぎて毎月の請求金額が1万円を超えてしまった、なんて人も珍しくはないと思います。

今後、こうした通信費の負担を軽減するための具体策を総務省が中心になって検討していくことになるようです。

今回のメルマガではそうした総務省の動きと、スマートフォンの通信費やそのプランについて調べてみました。

経済財政諮問会議にて

世界経済を牽引しているとまで言われた中国経済の減速。

それを踏まえ9月11日の政府の経済財政諮問会議では「内需主導の持続的成長」が一層重要になると指摘され、雇用や所得の改善、少子化対策や子育支援の強化、家計の支援による個人消費の後押しなどが掲げられました。

具体的には、

「国家公務員に支給される配偶者控除の見直し」

「保育所利用料の軽減や貧困世帯の幼稚園利用の無償化」

「500万人程度の就労拡大や正社員化比率の向上」

「高度な技術を持つ外国人労働者の滞在期間の延長」

「留学生の国内での就職率の向上」

そして今回のテーマとなる

「携帯料金などの家計負担の軽減」

が提言されています。

それぞれの提言の具体的な内容

回り道になりますが、それぞれの提言の具体的な内容も説明しておきます。

「配偶者控除の見直し」は、月額1万3000円の扶養手当を受けるために妻が働かない、というよくあるケースを減らし、労働力不足の解消を目指しています。

政府が先行して国家公務員の控除を見直すことで、企業にも見直しを促したいというわけですね。

「保育所利用料の軽減や貧困世帯の幼稚園利用の無償化」は、共働き世帯の保育所利用料を軽減する利用券の給付や、貧困世帯の幼稚園利用の無償化などが検討されるようです。

「就労拡大や正社員化比率の向上」は、現在は62.9%の正社員比率を、リーマン・ショックのあった2008年の66.6%に戻すことを目標にし、地域限定社員など多様な働き方の導入も視野に入れているようです。

「外国人労働者の滞在期間の延長」は、外国人労働者の国内滞在期間を現在の最長5年から8年に延長するようです。

「留学生の国内での就職率の向上」は、インターンシップを積極的に活用することで、国内での留学生の就職率を現状の2割強から5割に高めることを目指しています。

そして今回のテーマである「携帯料金などの家計負担の軽減」。

安倍晋三首相はスマートフォンの通信料引き下げなど負担軽減の方策を検討するよう高市早苗総務相に指示し、高市早苗総務相は

「低廉(値段がやすいこと)にできる方策を検討する」

と応じ、政府は家計に占める通信費を軽減するための具体策を、今後、総務省を中心に検討していくことになりました。

競争政策の働かないNTTドコモ、ソフトバンク、KDDI

甘利明経済再生担当相は、会合後の記者会見でこう語っています。

「3社体制(NTTドコモ・ソフトバンク・KDDI)が固定化していて競争政策が働いていないのではないかという指摘もある」

「協調的寡占」に陥っている携帯電話市場

総務省の使う言葉で「協調的寡占」というものがあります。

「寡占」とは少数の大企業がその市場を支配している状態です。

寡占市場の各寡占企業が熾烈な価格競争をしている場合、すなわち「競争的寡占」では、互いに競争相手より低い価格を設定し続けることで価格が下落し、結局どの企業も利益が減ってしまい採算が取れなくなる可能性もあります。

(牛丼チェーン店の熾烈な価格競争が思い浮かびますね)

一方の「協調的寡占」とは、寡占市場において各寡占企業がお互いに協調し、価格や供給量を調整し、全体の利益を確保しているような状態です。

つまり政府は携帯電話市場がこの協調的寡占に陥っていると指摘しているのです。

もし、政府の主導で携帯会社の3大手の自由競争を加速させ、スマートフォン料金を引き下げることができれば、企業にとっても刺激になるかもしれませんし、大衆は浮いた費用を他の消費に回せますね。

携帯電話端末契約数および月額利用料金に関する調査結果

スマートフォンやフィーチャーフォンの利用に関する実態はどうなっているのでしょうか。

日本のIT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業であるMM総研の独自調査を基に

「携帯電話端末契約数および月額利用料金に関する調査結果」が2015年3月末に発表されました。

PHS・タブレット端末・データ通信カード・通信モジュールは含まず、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの3社だけでなくワイモバイルとMVNOが提供するSIMカードを利用した携帯電話端末契約数は含まれているこの調査の結果では以下のようになっています。

・2015年3月末の携帯電話端末の総契約数:1億2651万件

・スマートフォン契約数:6850万件

・フィーチャーフォン契約数:5801万件

スマートフォン契約数比率は54.1%と前年度比で7.1ポイント増加しています。

増加してはいますが思ったよりまだスマートフォンの契約数は少ないのだな、という印象です。

驚かされるのが利用端末種類別の平均月額利用料金。

・フィーチャーフォン:2739円

・スマートフォン:6342円

利用料金に倍以上の開きがでています。

フィーチャーフォンからスマートフォンに移行したユーザーは、多機能性を誇るスマートフォンの便利さに感動する反面、倍以上という利用料金の大幅な増加に頭を
痛めることになるのです。

これが通信費の増大の一因のようです。

MVNOの実態

ちなみに、大手キャリアの通信回線を間借りすることで大手キャリアよりも安価でサービスを提供するMVNO、いわゆる格安SIMの平均月額利用料金は以下の様になっています。

・MVNO SIMカード:3379円

・音声非対応MVNO SIMカード:1199円

それぞれスマートフォンの半額から5分の1と格安になっています。

しかし、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIといった3大キャリアに慣れきった大多数のユーザーにとって、販売店舗がなく通信速度の品質にも不安を感じさせるMVNOはまだまだハードルが高いのか、これから先はわかりませんがまだまだ普及していないのが現状です。

「2年縛り」についての提言

総務省は「携帯料金」だけでなく「2年縛り」契約に対しても、解約トラブルが目立っているとしてキャリアに改善を求める提言をしています。

NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの「2年縛り」とは、御存知の通り、

・ユーザーは2年間継続利用を約束する

・その代わりに基本料金は大幅に割引される

という割引プランです。

しかしこの割引プランはいつでも無料で解約できるわけではありません。

・無料で解約できるのは2年の契約期間に達した直後の1ヶ月間のみ

・それ以外の時期に解約すると1万円程度の違約金がかかる

・申し出がなければ自動的に再度2年間延長される

という条件があり、とても解約しにくい料金プランになっていることから、多くのユーザーの不満要因となっています。

また、2年縛りは本来、端末の分割払いとは無関係ですが、端末の支払期間も「24~25回払い」と約2年で終了することから「2年縛り」と「端末の支払」を混同するユーザーが多く、それがクレームの原因となることもあるようです。

こうしたことから、

「3年目に解約したら違約金を請求された、2年以上も利用しているのにおかしい」
「解約期間から3日遅れただけで高額の違約金を取られた」

などの苦情が後を絶たないそうです。

しかし割引率が高いため、ユーザーの9割は2年縛りの割引プランを選択するそうです。

総務省の指摘する「2年縛り」契約の問題点

総務省が特に問題視しているのは以下の2点。

「他のプランの料金を意図的に高く設定し、2年縛り以外のプランをユーザーが選びにくいようにしている」

「2年縛りの自動更新は拘束期間を4年~6年と長期にする効果を持ち、実質的にユーザーからサービス選択の自由を奪っている」

この2点によって、通信サービスという技術変化が大きい分野であるにも関わらず、ユーザーは拘束期間が長い上に自動更新付きの契約しか実質的に選択できなくなっている、と総務省は指摘しています。

「2年縛りのないプランだってある」とキャリアが言っても、実際にはユーザーの9割以上は2年縛りを選んでいるわけですから、キャリアの収支計画もこの割引メニューを前提にしているのは明らかですね。

携帯電話の料金規制は既に撤廃され法的には強制できないためユーザーや有識者の声を背景に自主的な対応を促すという形にはなっていますが、総務省は2015年内を目処に各社の改善状況を評価するとしています。

特に自動更新の問題が改善されているかどうかを注視すると明言しており、

「2年間の拘束期間が経過した後は違約金なしでいつでも解約できるプランを設けるべき」と具体的に改善策まで提示しています。

こうした改善要求を受けたことで、NTTドコモは料金見直しの検討に着手したよ
うで、

「2015年度(2016年3月)いっぱいを目処に結論を出す」

と同社の加藤薫社長が発言しています。

KDDIやソフトバンク各社も追随するでしょうから、2015年末から2016年にかけて大手キャリアの基本料金体系の見直しが実現される可能性が高くなっています。

「更新月を1ヶ月ではなく2~3ヶ月にする」

「月額料金は変わらないまま3年目以降の解約を無料にする」

「現行の2年縛りプランはそのままで、新たに『2年だけ縛り割引プラン』を作る」

などが行われるのではないかと見られています。

ユーザーの不満要因「2年縛り」のメリット

ユーザーから忌み嫌われる2年縛りですが、もちろんメリットもあります。

機種によっては10万円もするiPhoneのような高額な端末でも、ユーザーはキャリアを経由すれば安価に購入することができます。

これも2年縛りのお陰です。

ユーザーが2年間の支払を約束することでキャリアは安定した売上を得られる、という前提があるからこそ、基本料や端末代の割引が可能になっているのです。

ですので、もしかしたら料金が高騰して逆効果になるのでは……と危惧する声もあります。

まとめ

総務省の今回の提言で、スマートフォンの料金が見直され、2年縛りに関しても何らかの緩和が行われ、もしかしたら携帯電話市場に何か大きな変化をもたらすかもしれません。

「変化は大事だよね」

などと他人事のように言ってはいられません。

自らもその変化から現行のビジネスを変える何かができないかを常に考え、市場の動向を注視していきたいと思います。

(記載 谷 美輝)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*