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大塚家具さんと社長の手腕の話

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信 vol.126
  『大塚家具さんと社長の手腕の話』

 

【1】 大阪では日本三大祭りの天神祭が開催

 

暑いです。

朝に外に出て帰ってくると、あっという間に真っ黒くろすけ。

そんな暑い日々の中、先日大阪では天神祭りがありました、日本三大祭の1つです、天神祭は。24日、25日とありましたが、今年は初めて「屋形舟」というものに乗りました。
 
中之島あたりから舟に乗ってそこから帝国ホテルあたりの大川沿いを北上しながら納涼花火を見るのですがすごいです、迫力が! (´ε`;)

何の爆発音?というくらいの迫力と、火薬っぽいのが降ってくるんです上から。
すごいですね、いいですね。夏はやっぱり花火ですし、ご飯にお茶などの飲み物もついてセットで楽しい時間でした。

初めて乗りましたが、なかなか楽しいのと、結構いろんな船が乗っていて「チキンラーメン」船、とか、「大阪歯科大学同窓会」船とか、「天満卸売市場」船 とか、結構そういった船を見ているだけで楽しいものでした。

いつも対岸から「船とか乗ってええの~」思ってましたが、予想通りいいものでしたし、また行けるならいいなと感じたものです。ただなかなかいいお値段・・。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

 

【2】 WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第159話
早い6割の企画書
営業先にもっていく企画書をせっせと作る呉くん。そこに現れた轟部長が発した言葉とは…? 
  

■ 第158話
ソースは嘘をつかない
多様化するサイト閲覧環境、崩れないサイトを作るのは一苦労ですが、そんなときこそ現場に伝わる格言が身に染みます。

【3】大塚家具さんと社長の手腕の話

「お家騒動」という言葉があります。
本来は江戸時代の大名家の内紛を指す言葉です。

江戸時代のお家騒動は、歌舞伎や狂言の題材に取り上げられ、面白おかしく脚色され、庶民の間で伝えられていました。

現代では企業や家族内での抗争を、お家騒動と呼ぶようになっています。

最近、まさにお家騒動としか言えないような、ある企業の内紛が世間を賑わせました。

そのある企業とは、総合インテリア販売の「IDC大塚家具」。

創業者である大塚勝久氏(72)が、娘であり社長でもある久美子社長(47)の退任を要求したのです。

3月の株主総会の場で、父と娘が経営権を巡って骨肉の争いを繰り広げ、2人は互いに相手の退任を求めて戦いました。

株主総会の結果、長女である久美子氏が父である勝久氏に勝利し、社長に復帰。

こうした同族企業における家族間の争いは、一旦こじれてしまうと、企業にとってもかなりのダメージになってしまうことがままあるものです。

京都市東山区にある布製かばんの老舗メーカーとして有名な一澤帆布工業のように、遺書をめぐる相続トラブルで会社が分裂してしまったケースもあります。

しかし、大塚家具では久美子氏が社長に復帰してからというもの、売上・株価ともに絶好調だと言います。

今回はこの事件を取り上げて見たいと思います。

お家騒動の原因は?

大塚家具は、昭和44年埼玉県春日部市で桐だんす販売店「大塚家具センター」として創業されました。

現在全国に16店舗を構え、東京都江東区にある有明ショールームは家具・インテリア専門店としては日本最大だそうです。

大塚家具の大きな特徴は、会員制などを取り入れた接客スタイルです。

お家騒動に至るまでの経緯を簡単にまとめてみると、2009年、創業者の勝久前社長が会長となり久美子氏が社長に就任(この時期から父と娘は経営方針の違いから対立するようになります)

2014年、業績不振を理由に久美子氏が社長を解任され勝久氏が会長兼社長に就任。

2015年、業績低迷は止まらず取締役会で勝久氏が解任、久美子氏が社長に復帰。

解任されたわずか半年後に、久美子氏は社長に復帰しているのですね。

この時期から創業者である父と社長である娘の対立が表面化し、お家騒動として世間で騒がれるようになりました。

父の勝久氏と娘の久美子氏は、互いに相手を退任させようと、委任状の争奪戦が始まります。

結果は、3月の株主総会で久美子氏が勝利し、勝久氏は会長を退くことになりました。

「私はクーデターと言いたいし、社員はテロだと言っています」と勝久氏は語り、悔しさをにじませていました。

父と娘の対立の背景にあった「経営方針の違い」

創業者である父と、社長である娘が対立した背景には、経営方針の違いがありました。

「高級家具を、会員制の広いショールームに展示し、熟練のアドバイザーがマンツーマンで接客し、販売する」という創業者であり父の勝久氏が確立させたスタイルに対し、

「受付や接客に抵抗を感じるという人もいる」

「価格が高いイメージを与える」

として若者をターゲットにしたカジュアルな小型店をつくることで改革を進めようとしたのが娘である久美子社長でした。

「古いやり方に固執する父」と「新しいやり方を試したい娘」。

大塚家具のお家騒動は、父と娘の価値観や思想などの違いに端を発した戦いだと世間では受け止められていたようです。

株主総会の行方

「久美子は最初の子供で大変な難産だった」
「これはクーデターだ」

と株主総会で非常に感情的だった勝久氏に対し、

「貴重なご意見ありがとうございました」

「(勝久氏に対し)席にお戻りください」

と父親をクールにあしらう久美子氏のやりとりを、ニュースでみた記憶のある方も多いでしょう。

この株主総会は、18%の株を保有し筆頭株主であった勝久氏から、10%弱の株を保有する久美子社長の退任を求める人事案が提案されたことで、委任状争奪戦となりました。

久美子氏は、自らが取締役を務める資産管理会社「ききょう企画」を足がかりに支持を広げ、株主による投票の結果、約61%の支持を得て久美子氏側の会社提案が可決されました。

これはつまり、現状維持を望む父ではなく、改革を望む娘に他の企業や個人の株主がついたということです。

大盛況のおわびセール

失墜した信頼とブランドイメージを回復させるため、そしてお家騒動のおわびとして、大塚家具では10~50%の値引きが行われた「新生・大塚家具 大感謝フェア」を全国16店舗で行いました。

久美子社長の人気のためか、それとも連日ニュースで取り上げられたためか、大阪では新宿店を上回る約500人が開店前から列をつくる盛況ぶりだったそうです。

過去最高の約1万人超の来店者数で2015年5月の全店舗売上高は前年同月比170%と好調だったそうです。

目玉商品として9店舗で10セットの数量限定で用意された93万5000円(クミコの語呂合わせ)の超高級寝具セットと、
全店舗で30セットの9万3500円のお手頃価格の寝具セットは、初日に完売。

このフェアで久美子社長は、真っ白なジャケットに身を包み「希望」「前進」を花言葉にもつガーベラを先着100人に手渡したそうです。

久美子社長に「応援しています」「がんばって」と声をかけ握手や写真撮影を求める人も大勢いたそうです。

お家騒動で世間の目が釘付けになり、株主総会で勝利が決まった後に間髪をいれず「大感謝フェア」を開催する
抜け目の無さは言わずもがなですが、花を配ってみせる女性らしい心配りは見事だと思います。

「父と娘が争うような店では嫁入り道具なんて縁起が悪くて買いたくない」という人もいたようですが、
世間でよくある父と娘の家族ゲンカをみせられたため、今まで高級店として避けていた大塚家具を身近に感じ、
親近感や興味を持った人も多かったのかもしれません。

新ロゴマークで心機一転

久美子社長の動きはこれだけではありませんでした。

失墜したブランドイメージの回復のため、平成5年以来22年ぶりに企業ブランドロゴの刷新を行ったのです。

今までの男性的なロゴを、細めのフォントを使い、よりフェミニンで洗練されたものに変更しています。

久美子社長は新しいブランドロゴを紹介しつつ、

「大塚家具のブランドイメージを大きく変えていきたい」

「インテリアは暮らしや人生を豊かにするもの」

「これまでは家具屋と思われていたかもしれないが、家具を販売するだけでなく生活提案をしていきたい」

と新しいスローガンのアピールもしました。

ここぞという絶妙なタイミングで効果的な手を次々と打つ久美子社長に対し、

「やはり彼女が社長をやって正解だ」

という声が大きいそうです。

「家具のリユース市場を確立する」久美子社長の意気込み

久美子社長は「家具のリユース」の提案もしています。

携帯電話の広告でお馴染みの「のりかえ」というキャッチコピーを使用し、大塚家具で買い替える際に、不要となった大塚家具以外で購入した家具を最大10万円までの下取りをする「のりかえ特割キャンペーン」を展開しました。

「車の世界には中古車市場があって、私達は手放したものがちゃんと利用されることを知っている。家具だってそれができる」

「本当は車よりも家具のほうが長持ちする」

「家具を車と同じようにリユースで使える仕組みを作れば、わたくしたちはもっと気軽に手放すことができるし、自由にインテリアに接することができるようになる」

とし、将来的には家具の中古市場を大きく活性化していきたいとのことです。

大塚家具とデザイナー佐藤オオキの「EDITION BLUE」

「若年層やインテリア初心者にも気軽に立ち寄れるようなブランド」
を立ち上げるため、デザイナー佐藤オオキとコラボし、セレクトショップ 「EDITION BLUE」をIDC大塚家具新宿ショールーム1階にオープンさせてもいます。

久美子社長を相手に裁判を起こした勝久氏

娘が優れた経営手腕を発揮してくれたので、色々あったが父も安心して引退へ……という結果にはなりませんでした。

父の勝久氏が、娘の久美子社長が取締役を務める資産管理会社「ききょう企画」に15億円の支払いを求めて訴えたことで、お家騒動はさらなる泥沼の様相を呈していきました。

「2008年ききょう企画に大塚家具株130万株を売却する代わりに団体の社債を15億円で引き受けたが、期限である2013年4月を過ぎても社債が償還されない」

「ききょう企画は13年に保有する大塚家具株189万株の名義を久美子社長に変更しているが、これは無効であり返還を求める」

と勝久氏が訴えたのです。

久美子社長は証言台で父である勝久氏を「原告」と呼び、

「取引は大塚家具の事業承継や相続対策が目的」

「償還期限の自動延長の合意があった」

と証言。

それに対し父の勝久氏は

「株の譲渡は子供たちの生活援助が目的。償還期限延長の合意はない」

と久美子社長の証言を否定。

この裁判で勝久氏が勝った場合、株は勝久氏の手に渡り、再び委任状争奪戦となった場合、今度は筆頭株主として勝久氏が再び実権を握り、久美子社長が会社を追われることも考えられます。

そのため、勝久氏はこのような手段にでたのではないかと言われています。

争われる「社長になった経緯」

社長になった経緯についても2人は争っています。

2007年、大塚家具がインサイダー取引を行ったとして、証券取引等監視委員会が金融庁に3044万円の課徴金納付命令を出すよう勧告したことがありました。

「この不祥事で意欲が減退した原告から社長を代わってほしいと言われた」

との久美子社長の証言に対し、

「久美子が再三やらせろというので」
と勝久氏は否定したそうです。

この裁判では、25人分の一般傍聴席に、200人を超える傍聴希望者が訪れ抽選になったそうです。

世間はまだこのお家騒動に注目しているということでしょう。

まとめ

大胆な行動をする一方で、お客様やマスコミには如才なく対応する。
クールな印象ながら、女性らしい気配りも忘れない。
彼女の言動から経営者にふさわしい知恵と行動力を感じます。

他方、創業者でもある勝久氏。

一代でここまで大きな企業を作るには相当の手腕と経営力に運も味方につけないとできませんし、すごい立派な人物です。
経営者としても素晴らしい結果を出しています。

だからどっちがええとか悪いとかなんとも難しいですし、

・お金の財務面 ⇒ 久美子社長になって利益出してる?
・企業の人事面 ⇒ 役員構成などどうなの?

などは、外野が言いたいことを言って書きたいことを書いて読みます。

なんとなく思うのは、
大塚さんのような、売上が500億の企業にはもっと深いいろいろあるはず。

いろいろあるんですが、500億の企業にならんとわからんのでしょうね、
とか思うと、尊敬する先輩社長の言葉が染みます。

「借金抱える社長の気持ちを、嫌やったら辞めたろうと思ってる従業員がわかるはずもないので、お互いベクトル合わせようとするねん」

(記載 谷 美輝)

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