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スマートデバイスに参入する任天堂から感じたこと

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.109
『スマートデバイスに参入する任天堂から感じたこと』

【1】今日は天下一品の日だそうです

tenichi

天下一品
クレアネットの谷です。
10月1日になりました。
うちは期末が3月ではないのですが、一般的な気分的には 下半期はいよいよスタート、です。
そんななか、「天下一品」が今日は「天下一品祭り!」だそうで。
祭りですよ、フェスティバル。 そんなわけで天下一品に行こうかと思いますが、祭りはいいですね。
気分が高まりますし、やっぱりそういった高揚感を持って いかねば、と感じます。うちは着々とハロウィン風の会社になりつつ あります。気付いたらドロイド君がかぼちゃに浸かっていたり。
楽しみです。

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第118話 広告用語の3R

■ 第117話 iPhone6

【3】スマートデバイスに参入する任天堂から感じたこと

海外の子供たちが初めて目にする日本語はなんだと思いますか? 一説によれば、それは「Nintendo」だそうです。
「ゲームウォッチ」「ファミリーコンピュータ」「ゲームボーイ」 「ニンテンドーDS」「Wii」などのゲーム機。
「スーパーマリオ「ゼルダの伝説」「ポケットモンスター」などの ゲームやキャラクター。これらを世に送り出し、世界的な 大ヒットを起こし、家庭用ゲーム機の歴史を築き上げてきたのが、 ゲーム業界の王者、任天堂です。
一定の年代以上を除いて、子供時代に任天堂のゲーム機やゲームで 遊んだことのない人などいないのではないでしょうか。
しかし昨今では、スマートフォンの普及に伴い、取り込むべき ユーザーは短時間で手軽に遊べるスマートフォンのアプリやゲーム に持っていかれ、ゲーム機自体が売れなくなってきています。
また、ユーザーだけでなく、スマートフォンやタブレットなら低い コストで開発ができるなどのメリットから、開発者側までもが そちらへ流れていってしまっています。
そんな状況でありながら、 「スマートフォンでマリオやポケモンが遊べてしまったら 3DSやWii Uが売れなくなる」 と、家庭用ゲーム機にこだわり、任天堂はスマートフォン への進出を頑なに拒否してきました。
その任天堂が、ついにスマートフォンやタブレットなどの スマートデバイスに進出するようです。
これは任天堂にとって大きな路線転換と言え、 今後の動向が注目されています。
スマートフォン時代に乗り遅れた任天堂にとって、 これはどう影響するでしょうか。
今後、任天堂はスマートデバイスでどのようなビジネスを 展開していくのでしょうか?
自分なりに調べて感想を述べて見たいと思います。

■ポケモンのカードゲームをiPadで提供

ポケットモンスターシリーズの世界観をカードゲーム化した、
『Pokemon: Trading Card Game Online』
という、パソコン用のアプリとして世界中で親しまれ、 海外で累計200億枚出荷されているゲームがあります。
先日ワシントンD.C.で開催されたポケモンのゲーム とカードゲームの世界大会
「ポケモンワールドチャンピオンシップス 2014」
の会場で、このゲームのiPad移植版が公開され、 今年中にリリース予定であることが明らかとなり、 注目を浴びています。
「Pokemon TCG Online」はF2P(Free-to-Play、無料で プレイという意味)であり、タッチ操作に最適化させら れており、オンライン対戦が可能で、課金でカードや アクセサリーが購入可能だそうです。
「もし本当なら、iPadを買う」と海外のファンにも 歓迎されているようです。
任天堂の提供ではなく、あくまで「株式会社ポケモン」 の海外法人が提供するという体裁をとるようです。
ちなみに「株式会社ポケモン」は、ポケモンのプロデュース と関連ゲームの販売やライセンス管理などを手掛ける、 任天堂など3社の共同出資により1998年に設立された会社です。

■スマートデバイスに慎重な任天堂

しかし、任天堂はスマートデバイスへの進出には 慎重なようです。
「Pokemon TCG Online iPad版」の日本展開は予定 されておらず、iPhoneやアンドロイドスマート フォンにも提供されません。
任天堂はスマートフォン用のゲームソフト販売を これからどんどん進めたいというわけではなく、 「マリオ」「ゼルダ」といった人気タイトルをそのまま スマートフォンやタブレット向けに移植するつもりも ないようです。
スマートデバイスを使ってユーザー層の拡大を狙い、 「独自の家庭用ゲーム機とソフトの販売」という今までの 事業を盛り返そうということのようです。
任天堂のゲーム機やゲームは歴史に残る売り上げを記録 している実績があるのに、いきなり、 「これからはスマートフォンやタブレットにゲームを提供します!」 とはいかないのでしょうね。

■株価からみる「任天堂のスマートデバイス参入への期待」

先ほども言ったように、ポケットモンスターのカードゲーム のiPad移植版は、任天堂ではない、任天堂の関連会社による 展開でしかなく、日本での展開も予定はされていません。
にもかかわらず、このニュースが流れると、任天堂の株価は 急上昇しました。
任天堂 の株価は3月以来の上昇率となり、一時730円(6.5%) 高の1万2020円まで上昇しました。
「マリオカート8」の販売がアメリカで好調で100万本以上 売り上げがあったことや、欧州ゲーム見本市での期待もあった ようですが、任天堂のスマートデバイス参入に期待を持っている 人が多かった事も、少なからず株価の上昇に影響したと 言われています。

■家庭用ゲーム機にこだわってきた任天堂の社長、山内溥氏と岩田聡氏

任天堂はなぜ、スマートフォン全盛期に自社の家庭用 ゲーム機にこだわるのでしょうか。
「スマートフォンでマリオやポケモンが遊べてしまったら 3DSやWii Uが売れなくなる」 という考え以外にも理由がいくつかあったようです。
その理由のひとつは、任天堂の三代目社長 山内溥氏と 、現在の社長 岩田聡氏です。
山内溥氏は「ゲームウォッチ」「ファミリーコンピュータ」 「ゲームボーイ」と、家庭用ゲーム機の歴史を 築き上げてきた人物です。
スマートフォンアプリに代表されるネットワーク ゲームについては否定的な見解を示していたようで、生前は 「ネットワークゲームは次世代の主流にならない、 という私の考えが正しかったと証明されるのを見ずに辞めるのは心残りだ」 とまで言っていたそうです。
次世代ゲーム機として期待された「NINTENDO64」が 不発に終わり、深刻な事態に陥った時、当時の任天堂社長 であった山内溥氏は、任天堂が買収したソフト開発メーカー、 ハル研究所出身あり、バルーンファイトなどを手がけ 天才プログラマーと呼ばれたこともある岩田聡氏に 経営者の素質を見出し「誰よりもおもしろいソフトをつくる」 と後任社長に指名しました。
岩田聡氏は社長になってからも経営のみならず プログラマーとしての仕事を手掛け続け、操作は簡単で 楽しさに徹したゲームの開発を続けました。
その岩田聡氏が世に送り出した「ニンテンドーDS」や、 体を動かして遊ぶ「Wii」は世界的な大ヒットとなりました。
07年10月にはトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループ に次ぐ規模となる株式時価総額10兆円を突破したそうです。
ネットワーク的なゲームを否定してきた先代社長山内溥氏の存在、 岩田聡氏の開発出身であるというプライドからくる 家庭用ゲーム機へのこだわり、強烈な成功体験。
これらがあったがゆえに、スーパーマリオなどの人気 タイトルをスマートフォン向けに制作しようという社内 の声が大きかったにもかかわらず、
『任天堂の強みはゲーム機本体とソフトを一体で開発するところにある』
とスマートデバイスでのゲーム開発を岩田聡氏は拒んでいたようです。
家庭用ゲーム機に固執する岩田聡社長を退陣させようとお家騒動 のような事態にまでなっていたそうです。
その任天堂がついにスマートフォン向けのアプリを始めることに なったのですから、今回の「Pokemon TCG Online iPad版」は そういう意味でも注目されているようですね。

■岩田聡氏の表明

経営方針説明会や記者会見で、岩田聡氏は以下のように スマートデバイスへの取り組みを語っています。
「スマートデバイスで実現した方がより使い勝手や体験を 改善できるサービスについては、重点をスマートデバイス に移していくことを積極的に推進したい」
「スマートデバイスで直接ビジネスを展開するアプローチではなく、 スマートデバイスでお客様とのより強いつながりをつくる ことによって、自社プラットフォームのビジネスを拡大 するアプローチを優先することにしたい」
しかし、以下のように、今までの経営を根本から変える つもりはないとも明言しています。
「ビデオゲーム専用機プラットフォームの未来を決して 悲観しているわけではない」
「ハード・ソフト一体型のビデオゲーム専用機プラット フォームを経営の中核とすることは今後も変わらない」
「将来のために新ハードの研究開発も進めている」
さらに、スマートフォンなど向けにゲームソフトをつくる ことについては、以下のように否定しています。
「スマートデバイスの活用の仕方は、ソフトを単純に 移植することではないと思っている」
「これをもって『マリオをスマートデバイスに供給』 と報道されると完全にミスリードになってしまう」

■人気のスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストポータルアプリ」

任天堂と並んで有名なゲーム会社といえば、 「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」 で有名なスクウェア・エニックスですよね。
そのスクウェア・エニックスは、スマートフォンに対して どのような姿勢なのでしょうか。
昨年11月、スクウェア・エニックスはスマートフォン向けに 「ドラゴンクエストポータルアプリ」の配信を開始し、 第一弾として「ドラゴンクエストI」を期間限定・100万人 限定で無料配信を行ったところ、1日で100万ダウンロード を達成してしまったそうです。
そのため、無料配信は延長され、結果、ダウンロード 数は350万にも上ったそうです。
それだけ人気タイトルのスマートデバイスへの移植に 需要があったということなのでしょうね。
「スーパーマリオ」や「ポケモン」が移植された場合も、 かなりのダウンロード数を達成できるのではないで しょうか。
しかし、それでゲーム機が売れなくなってしまっては、 逆効果なのかもしれません。

■まとめ

「角を矯めて牛を殺す」という言葉があります。 曲がっているからまっすぐにしようと牛の角を叩いたり引っぱったり すると牛は弱って死んでしまうことから、欠点を直そうとして 逆に全体や肝心な根本を駄目にしてしまうという意味です。
スマートフォンやタブレットがこれからもっと普及しても、 任天堂はスマートデバイスに経営の中核を移すことはなく、 距離を置き、面白いゲームのためなら専用のゲーム機を購入 する人達のために、これからもゲーム機やゲームを作り続けるのだと思います。
しかし、こうも感じました。
任天堂のようなすごい歴史や実績をもつ会社であっても、 スマートフォンの普及に伴って、変化することを要求されるのだな、と。
「ビジネスや経営には変化が大切で変化をやめれば 死んでしまう」と、いつもそう感じます。
記載:クレアネット谷

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(次回につづく)

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