SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.103
「「SIMロック」解除の義務化は市場にどのような影響を与えるか」2014.07.22
【1】当社オフィスが移転いたしました
この度、当社オフィスが移転いたしました。
6月16日(月)より新住所にて業務を開始いたします。
これを機に、社員一同、皆様のご期待に添えるよう
業務に精励する所存でございます。
今後とも何卒変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
【移転先】
530-0052 大阪市北区南扇町1-5 UAKビル2F
電話番号:06-4792-8281 FAX:06-4792-8291
(電話・FAX番号は変更はございません。)
【2】50音かるたを作ってみました
クレアネットの谷です。
50音かるた、というものを作ってみました。
http://urx.nu/affQ
かるたとwebをかけているのですが、実に見事にできてます。 仕事について気付いたあるある、をまとめてますが、 写真もうまく合わせて面白おかしくできてます。
こういう作品は日ごろの視点や着眼点が全て。 すごい納得だらけで面白いなあ。
【3】WEBマーケティング4コマ漫画
■ 第107話 3C分析って?
■ 第106話 DSPって?
【4】「SIMロック」解除の義務化は市場にどのような影響を与えるか
「SIMロック」解除の義務化は市場にどのような影響を与えるか. 今回は「SIMロック」の話です。「SIMロック」。
SIMロック = 電話機側に施される、特定キャリアの
SIMカード以外は利用できないように制限する機能です。
フジロック = FUJI ROCK 夏フェスではありません。
ヒムロック = 氷室京介 鏡の中のマリオネットは歌いません。
でこのSIMロックですが、実現すれば、現在の携帯電話業界の商習慣が大きく 変わるかもしれないニュースが報じられました。
総務省が「SIMロック」の解除に本腰を入れたというニュースです。 「SIMロック」の解除はヨーロッパの多くの国ですでに実施されていて、 アメリカでも5月から解除が始まっています。 そういった国際的な動向も、総務省は考慮しているようです。 すでに、端末を購入してから「SIMロック」を解除するまでの期間や手続き、 具体的なルール作りなどの本格的な検討に入っていて、 今年度には具体策も固まり、早ければ2015年の春には 実現される可能性があるそうです。
この「SIMロック」に関しては、実はすでに2010年には 携帯キャリア各社に通達がされていました。 しかし拘束力もなかったため、実際にSIMロックを 解除したキャリアはほとんど無い状態でした。 今回、これが大きなニュースになっているのは、 携帯キャリア各社が拒否した場合、電気通信事業法に 基づき業務改善命令を出すことまで検討されているからです。
この「SIMロック」解除の義務化が、「2年縛り」などの 現行の携帯電話業界のビジネスモデルや市場に大きな 影響を与えることは間違いありません。 今回はこの「SIMロック」についてと、その影響について 書いてみたいと思います。
■ SIMロックが可能にしていたビジネスモデル
日本でこれまで行われてきた携帯端末の販売促進の方法は、 「携帯キャリア各社は、販売店に対し多額のインセンティブを与える」 「販売店は、ユーザーに対して大幅なキャッシュバックを行う」 という図式になっていました。
このビジネスモデルが成り立つためには、俗に「2年縛り」と呼ばれる、 「ユーザーは同じ端末を2年間使い続ける、解約すれば違約金が発生する」 という前提が必要になっています。 「携帯端末の価格を携帯キャリア各社が負担する」 という方法もありますね。 携帯端末代金の24回の割賦払い分を値引きで相殺 することでユーザーを囲い込む。 こうやって携帯キャリア各社は実質的販売価格を 下げてきたわけです。
これらはすべて、SIMロックがあるからこその ビジネスモデルだったわけです。 総務省はこの「2年縛り」という商慣習の見直しも、 結論は先送りにしていますが、検討しているようです。
■ 2010年の通達「SIMロック解除に関するガイドライン」
冒頭でも述べたように、総務省は2010年6月にも 「SIMロック解除に関するガイドライン」を公表し、 SIMロックの解除を携帯キャリア各社に促したことがありました。
しかし拘束力もなかったため、解除したキャリアは殆ど無い という結果に終わりました。 2010年当時の、SIMロック解除を促す通達に関するソフトバンク の孫正義社長の「Twitter」の発言が思い出されます。 当時、Appleの「iPhone」は、日本ではソフトバンク によって独占販売されていました。
そのためSIMロックの解除で他社のユーザーも利用できるようになった場合、 「強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」 とソフトバンクの孫正義社長はTwitterで批判しました。 また、海外では高級品扱いされている「iPhone」は日本国内 では実質0円という具合に割引販売されていたため、 「海外に横流しされ大被害」 ともつぶやいていました。 また先ほども述べたように、携帯端末の価格を携帯 キャリア各社が負担することもできなくなることから、 「値引きができなくなり、 消費者価格が高騰、販売総数が下落する」とも。
ソフトバンクの社長という立場から見れば、 当然の主張と言えます。 結局、SIMロック解除が実施されることは ほとんどありませんでした。
今回はこの2010年の通達とは違って、拘束力のある 通達を出す方針を固めていて、違反キャリアには事業改善命令 などを出し厳しく監視していく方針だといいますから、 総務省の本気が伺えます。
(ちなみに、海外への端末の不正な転売を防ぐため、 販売から一定期間はSIMロックを認める方針だそうです)
■SIMロック解除のメリット・デメリット
これまでユーザーのキャリアの乗り換えを踏み留まらせていた SIMロックの解除は、携帯キャリア各社にどのような影響 を及ぼすのでしょうか。
SIMロックが解除された場合、ユーザーは、使い慣れた、 メールや画像などのデータが保存されている端末を持ったまま、 より安い料金プランのキャリアに気軽に乗り換える ことができるようになります。 乗り換えやすいということは、自社のユーザーを他社に 奪われる可能性も、他社のユーザーを自社に引き込む 可能性も高まるということです。
そのため、キャリア同士の競争が激化し、サービスの 多様化や料金の引き下げなどに繋がり、ユーザーは さらに良いサービスを受けることが出来るようになります。 またこれは、ドコモ・au・ソフトバンクなどの大手 3社間の乗り換えだけの話ではありません。 大手の回線を借りて格安スマホなどの通信サービスを 提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)への乗り換えも 促されれば、大手の寡占も崩れ、料金の値下げも さらに加速するかもしれません。 実際に、SIMロック解除の義務化の報道から、MVNOを 扱うIIJや日本通信などの株が高騰しています。
いままでのビジネスモデルの、携帯端末を次々と 買い換えたり乗り換えたりする人たちのために使われていた キャッシュバックは、そういう事をしない人が肩代わりしていた ようなものでしたから、SIMロックの解除が義務化され、 2年縛りがなくなれば、そういう面でも一般ユーザーの 料金は下がるかもしれません。 高額なキャッシュバックで新規契約者ばかりが優遇されている、 という、長期利用しているユーザーの不公平感も解消されるでしょう。
SIMロック解除のデメリットとしては、携帯端末代金が 上がるかもしれないということです。 他社への乗り換えが容易になれば、携帯端末の価格を 携帯キャリア各社が負担することも容易でなくなり、 利益の確保のため携帯キャリア各社は端末の販売価格 を上げるかもしれないからです。
キャリアがSIMとセットで携帯端末を販売するのではなく、 世界の他の国々のように、携帯端末だけをamazonや 家電量販店で購入するのが一般的になれば、価格競争 が起こってユーザーは端末をもっと安く買えるようになるかもしれません。
まとめ
SIMロックやMVNOの話を色々としてきましたが、 スマートフォンのユーザーであっても、これらの 認知度はさほど高くないと思われます。
今回のこのニュースで、「イノベーター理論」 「キャズム理論」を思い浮かべました。 ちょっと話が飛んでしまいますが、この 二つの理論を説明してみます。
イノベーター理論では、顧客層全体を受容時期の 早い順から五つの層に区分されるとしています。
・「イノベーター【innovator】」2.5%
新しい商品やサービスをいち早く受け入れ支持する人々。
・「アーリーアダプター【early adopter】」13.5%
常識的な価値観を持ちながらも、新しい価値観や様式にも敏感で、 比較的早い段階で受け入れる人々。
・「アーリーマジョリティー【early majority】」34%
新しい価値観や様式の受容に慎重で、比較的追随的に受け入れる人々。
・「レイトマジョリティー【late majority】」34%
新しい価値観や様式の受容には懐疑的で、世の中の普及状況 を見てから受け入れる人々。
・「ラガード【laggard】」16%
グズグズしている人という意味で、最も保守的で最後に 受け入れるか、最後まで受け入れない人々。
このうち 2.5パーセントのイノベーターと 13.5パーセントのアーリーアダプターの支持を受け、 16パーセントを超えると、革新的商品やサービスの 普及率やシェアが爆発的に拡大すると説く理論です。
次に、「キャズム理論」
キャズムとは「溝」を意味する言葉で、ユーザーの 行動様式を大きく変えてしまうような革新的なハイテク製品 やサービスにおいては、「イノベーター理論」の5つの区分の間、 特に特に「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティー」 の間に容易には超えられない「深く大きな溝」があるとする理論です。 とっても大雑把に言えば、革新的な商品やサービスが人々に広がる順序は、
イノベーター(新し物好きですぐ受け入れる人々) >
アーリーアダプター(新しい物に敏感な人々) >深い溝 >
アーリーマジョリティー(新しい物に慎重な人々) >
レイトマジョリティー(新しい物は世間に広まってから受け入れる人々)>
ラガード(グズグズしていて最後に受け入れるか、拒否する人々) といった具合でしょうか。
今まで話をしてきた、SIMロック解除の義務化やMVNOと聞いても、 多くのユーザーは、「もっとスマートフォンを自由に使ったり、 携帯料金を安くする方法が、どうもあるらしい」 程度にしか今は思っていないかもしれません。 しかし、今後、SIMロック解除の義務化などにより、 MVNOなどの新しいサービスがアーリーアダプターや アーリーマジョリティーだけでなく、深い溝を越えて アーリーマジョリティーやレイトマジョリティーにも 受け入れられるようになれば、一般的なものとして 世間で爆発的に広がるかもしれません。
そのとき、そこには新たなビジネスチャンスが 生まれてくるはずです。 しかし、製品やサービスが爆発的に広まってからでは、 チャンスを手にするには手遅れになっていることが多くあります。 今回のSIMロック解除の義務化だけでなく、新しい商品やサービス すべてに敏感になり、そこから生まれるビジネスチャンスを 見逃さないようにしたいものです。
いつまでもヒムロックばかり聞いていても、カラオケで歌ってばかりでは いけません。時代は変化しています。
記載:クレアネット谷
———————————————————————-
(次回につづく)