「vol.78 風立ちぬを見て得た共感と最適化された解答」 2013.08.20
● ※ ネタバレになってるかもしれませんがご了承ください。風立ちぬを映画館で見てきました。
● ネタがわかってしまうのであまり以下の文章などはあまり見ないほうがいいかもしれませんので、あえてその前提で書いていきます。テレビでもラジオでも映画館でもヤフー映画でも、いろいろ話のさわりが出てくるので記載していきますが、主人公と主人公の妄想の行き来の中で話が進行していきます。
● 主人公は飛行機に魅せられ、ひたすら仕事と好きな女性を追い求める。「堀越二郎」という主人公は実在し飛行機を作り、かの白浜を東京を結んでいた飛行機でプロペラ飛行機だった日本エアシステムのYS-11を設計したそう。
● 今も存在している白良浜の南紀白浜空港から羽田空港まで、YS-11は1994年まで飛び続けたそうなのですが、戦前生まれの堀越さんが作ったYS-11が、21世紀のすぐ手前まで愛されて使われていたのにびっくりです。
● かつて小さいときに東京まで飛行機に1度乗ったが、そのときの飛行機はYS-11でした。プロペラが回り、大きなエンジン音が鳴る中、時おりくるエアポケットに入ると車体が一気に降下するが、小さい子供だった自分は覚えてません。東京に行くという興味と興奮で怖いなどの気持ちはなかったのだと感じる。飛行機はやはり男や子供を魅了します。
風立ちぬ 劇場予告編4分
技術屋として黒川は既に終わっている、という描写にゾッとした
● で話を元に戻します。「堀越二郎」という実在の人物をノンフィクションで描いた映画ではなく、「堀越二郎」はあくまで実在の「堀越二郎」をイメージはしているが本物ではありません。「堀越二郎」は夢を大きく語らない、また物事を熱く話す人物
でもない。そうなってくると話が進まないので、時おり夢の中の飛行機の大先輩カプロー二伯爵がやってきて夢を語り、その夢に堀越二郎が魅了されるというエピソードを何回か繰り返して進んでいく。
● 見ていて堀越二郎に恐ろしく共感した。話を見ていると、堀越二郎は決して悪い人ではない。東京大震災があった際には人助けを行いその縁がきっかけでヒロインの菜穂子と出会う。その意味ではいい人だと思うし、いい人がそのまま仕事で成功するサクセスストーリーにも感じる。
● しかし、物語の中で共感したのはそのようなサクセスストーリーではなくて、飛行機という戦争の道具をエンジニアたちが夜な夜な語るシーンのように感じる。何で飛行機に魅せられるのかはわからないかもしれない。
● そのエンジニアが熱く議論を行う、最新のメカニズムについて説明を行う。そのたびに拍手喝采が沸き起こる。エンジニアは夢を追って語り続け、その熱は周りに拡散していきみんなが熱いエンジニアになっていく。たとえ飛行機が人殺しの道具になっても、熱いエネルギーは止まらない。「包丁を料理人が使えば美味い料理になり、殺人者が使えば人殺しの道具になる。包丁職人は使う人を選ぶことはできない」
● 堀越二郎は多くを語らないが飛行機を夢と考えて技術を磨き、仕事に没頭していく。なんでそこまで好きなのか、天才なのか、どんな部分がすごいのか映画でははっきりされないものの、その技術は抜群で上司や部下からも信頼を得ていく。ここまではエンジニア的な要素と堀越二郎をなぞらえたときに起こる共感力、飛行機に関する技術要素と、webに関する技術要素は全く異なるものであっても、何かいいものを作り上げていく部分はベースは変わらない。
● そして議論を重ね、その方法があったのかという発見を改めて見つけた際の喜びこそがエンジニアならではの魂だと思います。ただこの映画の中には奇妙な上司が出てくる、堀越の上司の黒川で声優は西村雅彦さん。この黒川がまた絶妙な役回りで映画を面白くする。
● 黒川の作る飛行機は軍に使ってもらうために試乗を行うのだが、機体が爆発を起こしてしまい結果採用の見送りになってしまう。そしてその飛行機について新入りの堀越二郎は大きな欠陥を発見してしまう。雨の中で黒川は堀越二郎に飛行機の欠陥を問う。「取り付け金具の問題だと思うか」
● 堀越二郎はその欠陥を分かっていた。もっと深い本質的な部分にあった。そして堀越二郎はその本質を見抜いていたという、そんな描写のシーンがあったがそのシーンを見てゾッとなった。
● 黒川の技術が足りない、という描写でもなく、堀越二郎が優れているという描写だと思うが、その時点で上司である黒川は堀越二郎に負けているのだ。完全に。技術屋として黒川は既に終わっている、という描写にゾッとした。
技術屋とマネジメント軸の葛藤 現場が好きという気持ちとマネジメント
● その後黒川は自分の思い通りの飛行機を作ることよりも若者を育成し、応援し鼓舞しマネジメントを進めていく。自分より才能のある若者を見い出し、世に送り出していくことがマネジメントであって、当然といえば当然なのだが、誰もがこのような瞬間をどこかで感じながら生きて行く。
● 人生のどこかのタイミングで、きっと誰もがこういう瞬間がある。仕事でも、日々全力で培ってきたからこそ、突っ走ってきたからこそ、築いてきた絶対の自信が揺らぐときがあって、自分が終わった人になって時代遅れになったと感じる瞬間である。その黒川が、先のエンジニアが熱く議論を行う、最新のメカニズムについて説明を行うシーンを見て、意見を全く言わないし議論に参加しないものの見ながら喜びを感じるシーンがある。
● 堀越二郎が意見を述べるたびに挙手して意見を述べ、その意見に改善案が出され議論が発生する。意見が重なりみなが高揚していくシーンを見て、黒川が喜びをかみしめながら「感動しました」とつぶやく。議論に混じりたい、あのもの作りの高揚感を味わいたいものの、マネジメントという立場から議論の『場』を作った結果の満足度が見える。そして堀越二郎はとうとう九試単座戦闘機を開発実現する。
● こういった視点で見えたのは、最初から黒川の声優は西村雅彦さんなので、必ずどこか特徴があって、けれども役回りとしてなくてはならないポジションのはず、という先入観を持っていたかもしれない。堀越二郎は自分の技術と、そして部下を信頼する上司の下仕事を成し遂げるが、この話には菜穂子という奥さんが出てくる。菜穂子は病弱でありながら、結婚を決意した堀越二郎と暮らすのだが、看病の日々が続く。
● この葛藤部分もあるのだが、最終的に堀越二郎は菜穂子ではなく仕事をとる。状況の問題もあるのだろうし、時代のこともあるのかもしれない。ただ、堀越二郎が飛行機の設計をストップして仕事を辞めて、菜穂子の看病に生きる暮らしというエンディングもあったかもしれない。映画ではその葛藤のシーンも出てくる。妻の手を握りながらタバコを吸いつつ仕事なんて出来ない、
と思うシーンもあったし、男はそれでも仕事をしないといけない、と仕事に打ち込む。
きっと誰もが悩むのでしょうね、この場合。
● この場合の選択が正しいのかなんてわからない。ただ映画を見る際に大事な恐ろしく共感することはこのシーンでも感じた。内面的な葛藤はあまり出てこないが、葛藤を推測させる表現や演出が多く出てくる。また最後の最後のシーンもそう。すべての登場人物が飛行機の仕事を中心に動いている。
Search Engine Optimization =SEO 最適な解を導くこと
● いろんな葛藤に対して明確な回答は出てこない。その意味でこの映画が難しくて子供はぐっすり寝てしまうし、宮崎駿さんが飛行機好きで戦時中を生き、宮崎駿の実家は飛行機製造会社だったそうなのでこのあたりもすごく繋がります。飛行機を作っていた実家。紅の豚であったり、ラピュタにも出てくる飛行機や乗り物など。
● 宮崎さんは既に70歳、純粋にすごいなと。
● さてクレアネットにおいても、エンジニアとして何かを作ることはwebサイトやシステムなどは全て飛行機のエンジニアの感覚で共通しています、さらに、その中でよりいいものを作る方法を模索し意見を出し、熱を帯びることもそう。 そして上司としてマネジメントを行うにあたり、どんだけ頑張っても勝てない事実を突きつけられたり身を引かねばいけないタイミングも出てきます。そういった状況を何回か繰り返しているうちに、黒川のような脇役にもしっかり感情移入が入っていたようです。
● 何をなすのか、をしっかり見ていけば、黒川の立場にもなり、堀越二郎の立場にもなり、また男性であっても菜穂子のような立場になるかもしれない。答えはないものの、答えはないからこそ、最適な解を求めないといけない。
SEO対策の日本語訳は「検索エンジン最適化」=Search Engine Optimization 最適な解を導くこと、という意味です。
● 何が最適なのか、まずはその最適を見つけること。だからこそそれが難しい。そう感じます。いい映画です。
ご相談はこちら
● そういえばこっちに「風立ちぬを見て感じたこと」のコメントをまとめていました。見たすぐあとだったので少しまとめ方はカンタンです。
内容というよりも宮崎さんよりのコメントを書いてまとめていますが、もう少し突っ込んでこっちに記載しました。
企業にとっての最適解、webサイトの最適解、何が最適解なのかわかれば後は実行だけ。そう考えたら「売上!」とかだったり、「顧客数」とかKPI決まってるとやりやすいですね。そう思います。
(次回につづく)