『SEOマーケティングの未来を読む vol.143』
ドローンやマルチコプター
【1】 WEBマーケティング4コマ漫画
第197話
プラシーボ効果
プラシーボ効果を聞いた呉くん。早速プラシーボ効果実験を始めたのですがちょっと違う・・
第196話
ぐるぐる動く広告
ぐるぐる回る商品バナーは「Criteo(クリテオ)」社さんで提供している、Criteo広告です。
第195話
くまモン頑張れ絵
震災で心を痛めている人がいる。呉君が今できることっていったいなに!?
【2】ドローンやマルチコプター
「ドローン」「マルチコプター」が最近よく話題になっています。
人が入れないような場所で活躍するドローン。
こんな映像を見たこともあるのではないでしょうか。
画期的な発明としてこれらが賞賛されたのは数年前のことです。
ちょっと前に官邸の屋上で怪しげなドローンが発見されたり、マルチコプターが墜落事故を起こしたりというのもニュースになってました。
数年前には、オンライン通販最大手のアマゾンが、ドローンを使って商品を宅配するいわゆる「アマゾン・プライム・エア」計画で注目を集めたこともありました。
ドローンやマルチコプターに高性能カメラを搭載すれば、商用利用だけでなく、上空からの撮影や災害現場の調査などに幅広く活用できるとして、関連法人からも需要が高まっています。
比較的安価で難しい技術も必要としないため、趣味やホビーとして購入するユーザーも増えており、日本でも2015年を境に本格的に普及するのではと言われています。
今回のメルマガではドローンやマルチコプターについて調べ、感想を述べたいと思います。
ドローンとマルチコプターの違い
マルチコプターとは2つ以上のローターを搭載したヘリコプターのこと。人が乗り込んで操縦するもの、無線で動かすラジコンのもの、そして自律飛行が可能なものがあります。
ドローンはロボットという意味で、プログラムで自動操縦させるという意味合いが強いため、特に自律飛行が可能なものをドローンと呼ぶ傾向にあるようですが、厳密に使い分けされていない場合もあるようです。
官邸で発見された怪しいドローン
ちょうど1年になります。
東京都千代田区永田町にある首相官邸の屋上に、怪しげなドローンが墜落しているのが発見されました。
そのドローンには「小型カメラ」「発煙筒のようなもの」「プラスチック容器」が積載されており、プラスチック容器には「放射能マーク」のシールが貼られ、中にはおよそ100グラムの砂が入っていました。
検査の結果、砂からは微量のセシウムが検出されました。数日後、迷彩服を着た無職の40歳の男が、ドローンのコントローラーや砂を持って出頭。
官邸にドローンを飛ばしたと告白したため、官邸職員の業務を妨害したとして威力業務妨害容疑で警視庁公安部に逮捕されました。
国の原発政策に関して抗議するためにやったそうで、プラスチック容器の中の砂は福島県の砂だったようです。
男はブログを開設しており、そこで「官邸サンタ」と名乗っていました。
その前にも、ドローンを官邸に飛ばそうとしていたことや、今年3月には福島県を訪れ汚染土を採取したことを書き込んでおり、以前から犯行を計画していた様子が伺えます。
また、事件の犯行をほのめかす書き込みもしていました。
「遅せーよ職員!2週間放置て…」
と、首相官邸にドローンを飛ばしたのに誰も気づいてくれないことを嘆く書き込みもあったそうです。
気付かれなければ大衆の注目も集められず、政策への抗議をアピールすることもできませんからね。
非常に興味深く感じたのが、以下の書き込みです。
「今がドローン規制前の黄金時代…法整備前に飛ばしてしまおう」
現在ドローンは野放しになっているが、近い将来には法が整備されドローンが自由に使えなくなる、とこの男は見越しているのです。
ドローンの「飛行禁止区域」
ドローンにはGPSを使ったシステムが搭載されており、空港や飛行場の周辺ではもともと離陸できない設定になっています。
首相官邸のドローン侵入事件を受け「皇居周辺」や「首相官邸」は飛行禁止区域として設定され、半径1km以内では離陸できなくなったそうです。
何かあれば、後から新たな飛行禁止区域情報を追加できるようになっているのですね。
ドローンに侵入されるなんて、日本は平和だから警備も徹底されていなかったんじゃないか?という意見もありましたが、ホワイトハウスの敷地内でもドローンが発見されたことがあったそうです。
ホワイトハウスやアメリカ国会議事堂周辺は、ドローンどころかあらゆる飛行物体の飛行禁止区域として凧揚げさえできない地区もあるそうです。
こうした大統領の身を守るための警備の網をすり抜けてドローンが侵入した事実に、関係者は騒然となりました。
厳戒な警備体制の中、調査が行われましたが、日本の事件とは違い、墜落したドローンには危害を及ぼすような付属物もなく、背景にある思想や動機も見当たらなかったそうです。
結局、シークレットサービスのエージェントの1人が酒に酔った状態で、ホワイトハウス付近のマンションから友人のドローンを操縦した際にコントロールを失って墜落させてしまっただけで、大統領や政府を攻撃する意志などなかったということが判明しました。
しかし
「なーんだ、そんなことだったのか、メデタシメデタシ」とは
なりませんでした。
ホワイトハウス周辺にはミサイルや航空機の攻撃から防衛するためのレーダー網が張り巡らされていますが、そのレーダー網では誰でも簡単に手に入れられるドローンに対応できないと明らかになったからです。
モラルと法律
日本の墜落に関する別の事件。
名古屋の栄のテレビ塔周辺で、夜景を撮影するために飛ばしていたマルチコプターがコウモリのようなものに衝突しコントロールを失い、繁華街に墜落するという事 故がありました。
墜落したマルチコプターは人にぶつかりもせず、幸いケガ人もなかったのですが、操縦者が反省の色もなく、この時の様子をインターネットの動画サイトに投稿したため、
「人に当たったらどうするつもりなんだ」
「ルールを守っている99%の愛好家に迷惑」
と批判的なコメントが動画サイトの書き込み欄に殺到し、炎上したそうです。
そのマルチコプターは重さが1.2キロあり、上空から頭に落ちてきた場合は死傷者も出たかもしれませんから、批判は当然かもしれません。
操縦者はアップした動画をすぐに削除したようですが、すぐに別の場所にアップされ、再生され続けたようです。
結局、操縦していた30代の男は、愛知県警によって航空法違反の疑いで書類送検されました。
「空港から9km以内で150m以上の高度を飛行する場合は、国土交通相の許可が必要」
と航空法で定められており、テレビ塔付近は名古屋空港の航空交通管制圏内であるため、150mを超える上空を無届けで飛行させたのは航空法に違反しているという理由です。
テレビ塔の近くを飛行させたり、繁華街に墜落させたりしたから書類送検になったわけではないのですね。
こうしたマルチコプターの飛行を規制する法律は規制がゆるく、空港周辺以外では、
「航空路外:地上250mまで」
「航空路内:地上150mまで」
の高さであれば届出や申請も必要なく自由に飛ばすことができるそうです。
ケガ人もないのに警察が書類送検にまで踏み切ったのは、ドローンやマルチコプターの危険性を周知させ、マナーを向上させる狙いがあったようです。
商業利用されるドローン?
当初、こうした無人機は軍事利用のために研究されていたものですが、民間や商業分野での活用も期待されています。
オンライン通販最大手のアマゾンの、注文を受けた商品を小型無人機で配達する新サービス、
「アマゾン・プライム・エア」
などがその好例です。
8つのローターを備えた「オクトコプター」にGPSを搭載し、注文の商品を目的地まで自律飛行させ、注文から30分以内に配達するそうです。
重いものは搭載できないだろうから対象となる商品は限られているんじゃないのか?と疑問に思いますが、最大で約2.3kgの商品を搭載できるため、アマゾンで取り扱っている商品の86%が対象になるそうです。
アマゾン以外も同じような構想をもっていて、ドミノピザのイギリス法人は「ドミコプター」によるピザの宅配を計画しているようです。
ドローンに期待しているのは、宅配を任せたい民間企業だけではありません。
「犯罪の予防や、行方不明者の捜索に利用できる」と警察関係者が、
「山火事や放火の早期発見に欠かせない」
と消防関係者が
主張していますし、農薬の散布や航空写真の撮影もできるとして、多方面から期待されています。
有人の航空サービス会社に依頼していたこれらの作業を無人機で代替できるとなれば、大幅にコストを削減できるため、これからドローンやマルチコプターの需要はますます高まるでしょう。
しかし、利用には賛否両論があり、議論を呼んでいます。
ドローン利用の障害
障害となっているのは、技術面ではなくむしろ法律面だそうです。アメリカではドローンなどの無人機の使用は認可制で、主な認可先は公共性の高い警察や消防署。
民間が商用利用するためには、墜落による建造物への衝突や、部品の脱落など、安全面への配慮を徹底する必要があります。
アマゾンによれば、技術面での開発の目処はすでに立っており、米連邦航空局(FAA)が商業利用を解禁しさえすれば、サービスの開始が可能としているそうです。
もう一つの障害は「プライバシー侵害への懸念」です。どこの誰が操っているかもしれない無人機が、自宅の周辺を飛ぶことを不快に感じる人は多く、アメリカの市民団体や人権擁護団体などは、
「ビデオ?カメラやセンサーを搭載した無人航空機は、警察が市民の日常生活を監視するために使われる」
として反対しています。
アメリカの法律事務所
「ドローンによってケガや被害を受けた人向けの弁護をする」
という、ドローン訴訟対応を謳い文句にする法律事務所が、アメリカで徐々に増えているそうです。
障害はあるものの、近い将来、ドローンやマルチコプターの商用利用が常識となり、事故が多発し訴訟問題になると睨んでいるのでしょう。
まとめ
ドローンやマルチコプターは実用化されてまだ数年ですが、一大産業になる可能性が高いものです。
日本でも国際ドローン展がこの2016年4月に終了しました。
■ 国際ドローン展
http://www.jma.or.jp/tf/drone/index.html
単純にもっと活用できる場所はたくさんあります。
危ない場所へのドローンでの移動や環視、震災などの危険な場所や人の生命を危険にさらす前に、ドローンでまず確認に行くなどは既に実行されています。
二者択一に機械と人間、どっちがエライなどあまり興味はありませんが、ドローンを如何にして有効に使うのか、などはまだまだ楽しみな分野。
こういったテクノロジーでいかにして人の暮らしや生活を豊かにするのか、考えるのは楽しいものです。
ITの原理原則はこういったところにあります。
(記載 谷 美輝)