『SEOマーケティングの未来を読む vol.139』
技術的特異点(シンギュラティー)
【1】 3月のライオンと人生を戦う11人の棋士
「3月のライオン」とは、
将棋を題材にした漫画で、棋士の先崎学さんが監修しており、その人気の高さからアニメ化もしている作品です。11巻まで読みましたが、将棋好きにはたまらない作品です。
で将棋と違うのですが今回の題材はアルファ碁の話です。将棋は穴グマ、後は振り飛車、小学生のときには3手詰み、5手詰みの詰み将棋を好んでいたりした記憶からは、将棋は最高に面白いし楽しい。
碁はあまりできないのですが、将棋よりも複雑でさらに定石などもあり、はまるきっかけを逃して生きてましたがやれば奥が深いことこの上なしです。小学校のときに詰将棋が好きで小学館の詰将棋の本を買ってもらい3手詰はできるので5手詰や7手詰を研究していたものからすれば、碁で勝てなくなるというのはなかなかショックです。といっても、実力はファミコンの将棋で飛車角落ちでも勝てなかったほどのレベルなのでたいしたものでないのですが・・・。今回はコンピュータが勝ってしまった、そんな話です。
【2】 WEBマーケティング4コマ漫画
第185話
同じ検索エンジン
ヤフーとグーグルの検索結果はほぼ一緒ですが、なぜなのか知っていますか?昔とは検索エンジンの諸事情も変化してきています。
第184話
価格で商品検索
内容に関しては実話です。 クレアネットのとあるスタッフが実際にこの内容の経験をしてしまった苦い経験です。
【3】 進化する人工知能と技術的特異点の話
「技術的特異点(シンギュラティー)」という言葉を知っていますか?
急速に進化したテクノロジーの甚大な影響で、それが無い時代には後戻りできないほどに社会や生活が変容してしまった未来のことや、その人間の能力を超えた能力で引き起こされる出来事を指すそうです。
また、人口知能が人間の知能を超える境目の事を指すこともあるようです。
2045年までには人工知能によって技術的特異点が引き起こされるとも言われています。
最も身近な人工知能は2011年10月からApple のiPhoneへ搭載された、音声を自動認識して回答する「Siri」ではないでしょうか。
そして人工知能が最も大きな衝撃を与えたのは、囲碁です。
まさか勝ってしまうとは思っていなかったのですが、というのが本音でしょう。
前には、1997年IBMの開発したチェスソフト「Deep Blue」が人間のチャンピオンであるガルリ・カスパロフを1勝2敗3引き分けで破ったこともびっくりだったのですが。
先日、Googleの傘下にあるベンチャー企業「DeepMind」が開発した最新の人工知能を利用した囲碁ソフト「アルファ碁(ALPHAGO)」が、李セドル九段に5戦中4戦勝利し、
ニュースになりました。公式戦と同じ条件の囲碁でコンピュータが4回も勝つなんて・・・。
人間のプロ棋士を打ち破った「アルファ碁(ALPHAGO)」の
開発者らはこう語っています。
「碁のルールは極めて単純ながら、深遠な複雑さを備えたゲームだ」
「病気の画像診断や天候の予測など状況判断が必要な場面に応用できる」
そしてFacebookの研究者は、
「囲碁の謎を解決することはソーシャルネットワークを動かす
人工知能の進歩と、人工知能の価値の証明になる」
と考えているそうです。
今回のメルマガのテーマは人工知能についてです。
チェスと将棋と囲碁
ちょっと昔の話です。
1997年IBMの開発したチェスソフト「Deep Blue」が人間のチャンピオンを破り、2015年には将棋ソフト「あから2010」が女流王将の清水市代さんと対局し勝利しました。
しかし囲碁ソフト「アルファ碁(ALPHAGO)」がプロに勝利するのはその後でした。
囲碁ソフトの勝利が最も後だった理由はなんでしょうか。
縦横19本の線が交差する盤上に、滑らかな黒と白の碁石を交互に置き、最終的に相手より広い領域を確保することを競う東洋のチェス、囲碁。
ボードゲームは盤面の広さの違いなどから局面の数、つまり検討しなければいけない選択肢の数が変わります。その数はチェスが10の123乗で、将棋は10の220乗。
(ちなみに10の224乗を仏教用語で阿伽羅といい、あから2010はこれに因んで命名されています)
しかし囲碁は10の360乗以上もあるそうです。10の12乗が1兆と言えばその膨大さがイメージできるでしょうか。
複雑で膨大すぎるその数にコンピュータの計算が追いつかず、囲碁ソフトはチェスや将棋のそれよりも格段に開発が難しいとされ、
プロ棋士に勝てるソフトはなかなか生まれず、人間のプロ棋士を破るにはまだ先だと言われていたのです。
Facebookの人工知能研究者ヤンドン・ティアンは
「囲碁はAI研究者にとって昔からの課題」
「途方もなく難しく、途方もなく魅力的な課題である」
と説明しています。
このように囲碁は人工知能にとって
「未制覇の大きな課題(グランド・チャレンジ)」
とされていたのです。
囲碁ソフトを発展させた人工知能の「ディープ・ラーニング」
先程も説明したとおり、勝つ確率が最も高くなる一手を選ぶために、やみくもにすべての選択肢の結果を分析していたのでは、高い演算能力を備えたコンピュータでも途方も無い時間がかかってしまいます。
そこで「アルファ碁(ALPHAGO)」には、最近の人工知能について語られる際に必ずと言っていいほど登場する「Deep Learning(ディープ・ラーニング)」という技術が使われています。
(人工知能界隈の人ってDeepって単語に思い入れでもあるのでしょうか?)
「アルファ碁(ALPHAGO)」はただやみくもに計算するような真似はしません。
ディープ・ラーニングを使い、プロ棋士が打った盤上の石の配置を画像として入力し、勝ちにつながる形を覚えさせたり、自分自身と戦わせたりして膨大なデータを学習させたそうです。
つまり、コンピュータに
「上手い手とはどのようなものか」
「人間は囲碁をどうプレイしているのか」
を学ばせることで膨大な計算を省き、勝つための判断能力を高めたのです。
現在ディープ・ラーニングはGoogleとFacebookの研究者などによって研究が進められています。
コンピュータの飛躍的な向上で実現可能になった「ディープ・ランニング」
そのディープ・ラーニングについて、詳しく説明していきたいと思います。
ディープ・ランニングとは「ディープニューラルネットワーク」と呼ばれる、人間の脳のなかに張り巡らされたニューロンの網のような膨大なニューラルネットワークを何層か積み重ねた技術で、その基礎は1950年代には既にあったそうです。
しかし当時のコンピュータでは膨大なデータを分析する事はできず、目覚ましい進展はありませんでした。
ところが近年、コンピュータの演算能力は飛躍的に向上し、膨大なデータの分析も行えるようになったことで、ディープ・ランニングを活用した人工知能の開発が一気に加速したそうです。
ディープ・ランニングを研究するGoogleやFacebook
GoogleやFacebookといった企業によって研究されているディープ・ラーニングは、画像認識やパターン認識に非常に優れていることが証明されています。
2012年に「猫の画像の自動認識に成功した」とGoogleが発表したことを覚えている人も多いでしょう。
そのGoogleが成功した自動認識とはどのようなものでしょうか。
人間は様々な動物の写真の中からでも猫の画像を簡単に判別することができます。従来の人工知能は、人間が猫の特徴を細かく定義しインプットなければそれができませんでした。
しかしGoogleは、最初にコンピュータに猫の特徴を教えただけで、コンピュータに自動的に大量の画像から学習させ、猫を判別させることに成功したのです。これは画期的な出来事でした。
また、5万文字の手書き文字の筆跡を学習させることで、手書きの文字から誰が書いたかを高精度で判別するシステムも登場しました。ディープ・ラーニングは、数万件のデータさえあれば実用的なレベルの分析ができる手法だとして、人工知能のブレークスルーと言われました。
人間の脳に迫る「ディープニューラルネットワーク」
先ほど述べたように、ディープ・ラーニングは画像認識やパターン認識に非常に優れています。
GoogleとFacebookは、ディープ・ラーニングをインターネット上の写真のなかの顔を識別したり、スマートフォンに向かって話した言葉をコンピュータに認識させたりするために使っています。
ディープニューラルネットワークはパターンから答えを導き出すのが非常に得意だそうで、ディープニューラルネットワークに十分な枚数のある特徴を持った写真をインプットすればネットワークはその特徴を特定できるようになり、十分な数の対話をインプットすれば会話をすることもできるようになるのです。
このニューラルネットワークの活用が、人間とコンピュータの間にある、超えられなかった壁をもついに超えられるようになる、と信じる研究者もいるそうです。
ディープ・ラーニングの持つ、様々な可能性を巡って、GoogleとFacebookは熾烈な競争を繰り広げています。
ビジネスにおける人工知能
人工知能は日本のビジネス界ではあまり取り上げられる話題ではなく、漫画やアニメの中の話のように思われがちです。
しかし欧米では人工知能をビジネスに積極的に活用していこうとする動きがあり、人工知能というキーワードが頻繁に出てきています。
実際に、欧米では人工知能ベンチャーの買収や研究所設立が盛んに行われています。
・2010年Appleが2億ドル前後で「Siri」を買収
・2013年Facebookがニューヨーク大学のYann LeCun教授を雇用し人工知能研究所を設立
・2014年Googleが5億ドルでイギリスの人工知能系ベンチャーDeepMind社を買収
・2014年中国の検索大手Baiduが約3億ドルでシリコンバレーに人工知能研究所を開設
・2015年Facebookがカルフォリニアの設立1年半の企業wit.aiを買収
と、上記のように欧米では人工知能の分野に巨額の資金が動いているのです。
中にはITビジネスのこれから10年は人工知能がメインストリームになる、という人もいるのだとか。
日本における人工知能ビジネス
日本では人工知能がまったく取り上げられていないかと言えばそうでもありません。アメリカのクイズ番組で優勝したことでも有名になった人工知能Watsonの日本語版をソフトバンクと共同研究するとIBMは発表していますし、みずほ銀行もコールセンターにWatsonを導入すると発表しています。
しかし、日本はこの分野で20年以上遅れていると指摘する専門家もいます。
それは逆に日本では未開拓の分野で巨大なビジネスチャンスが眠っているとも考えることができるかもしれませんね。
実現しそうな「2045年問題」
「2045年問題」というITの世界ではたまに耳にする言葉があります。
インテルの創業者ゴードン・ムーア氏は
「コンピューターチップの性能は18ヶ月毎に2倍になる」
と予測しました。
この「ムーアの法則」に基づいてGoogleの人工知能の研究者レイ・カーツワイル氏は
「2029年までに人類と同じレベルの人工知能が生まれる」
「2045年までにコンピュータの性能が人間の脳を超え技術的特異点が訪れる」
と予想しました。これが「2045年問題」です。
あと30年ほどですから、私達の生きている間に体験することができるかもしれません。
まとめ
小学校のときに詰将棋が好きで小学館の詰将棋の本を買ってもらい3手詰はできるので5手詰や7手詰を研究していたものからすれば、碁で勝てなくなるというのはなかなかショックです。
ファミコンの将棋で飛車角落ちでも勝てなかったほどのレベルなのでたいしたものでないのですが、諸条件同じならコンピュータが勝てるんでしょうね。
麻雀のように4人の流れがあったりするとまた異なるのかもしれないですが。
進んだ人工知能によって2045年には、今のコールセンターは人工知能によって運営されているのかもしれませんし、人工知能はいつか人間のようにひらめきや第六感すら獲得するのかもしれません。
まあ、すごいものです、ひたすらすごい。
といっても、機械の翻訳なんですが、なんで英語と日本語を翻訳するとおもしろい結果になるんでしょうか。
試しに「おばちゃんとこ行くわ」と日本語で入れると英語ではどうなるのでしょうか。
「おばちゃんとこ行くわ」 (日本語)
↓
「I go aunt Toko」(英語) と訳してくれます。
Toko いらんっていう話です。
人工知能もいい感じですが完ぺきではない、んです。
ここにビジネスの穴やスポットが生まれます。
ついでに言えば、どこまで言っても競合も機械もいない場所があります。
その場所を見つけない限り永遠に時代と共に栄枯盛衰の波が押し寄せてくるような気がします。
ビジネスはそういった場所を探すこと、のような。
分析なども他者にないポジショニング、が選ばれる理由になりますので。
(記載 谷 美輝)