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死なないはずのペットが死んでしまう話

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.122
『死なないはずのペットが死んでしまう話』

【1】 最近購買意欲の話で面白いケース

今回の題材とは関係ないのですが、顧客属性やマーケティングの話です。
グーグルの検索エンジンは「興味関心」から類推して適切なサイトを表示しています、「ガンバ試合 チケット S席 ACL」などのワードからの興味関心を拾います。

反対にアマゾンの場合、購買履歴からレコメンドを働かせます。購買した行動を見て、「ガンバのACLの試合チケット買った人は、たぶん、ガンバの年間シートも買う可能性が高い」
 
ではフェイスブックはどうなのか?
フェイスブックは感情理解をうまく行っています。ガンバのチケットを買う方は大阪のサッカー好きの、今度の土日あたりに映画に行くか買い物に行くかなどまだ決まっていない人、などの属性です。どの部分も属性を浮き上がらせつつ、知性の方向性が異なります、なんかこれがサッカーの嗜好性に似ている気がします。

目指すべき方向性はほぼ似ているのですが。

そう考えるとまだまだ未開拓な部分だらけですね。こんなレコメンドや検索などの分野に関しても。

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第149話
フォントの種類
文字のフォント、と聞くとMSゴシックとか明朝体など思い出しますよね。フォントの種類は実は数万あるんですよ。

■ 第148話
食べログ
食べログで飲み会の場所を決めたり、食事の場所をチェックしたりというのは今やもう普通ですね。そんな食べログで新たな発見が!

【3】死なないはずのペットが死んでしまう話

「愛という感情を、ロボットに抱くとは思わなかった」「死なないペット」そんなキャッチコピーで売りだされていた製品がありました。

それがSONYの「AIBO(アイボ)」です。
ソフトバンクのペッパーくんのような、そんな衝撃が当時ありました。

AIBOは1999年に発売された全長約30cmの子犬のような外見をした愛玩用のペットロボットです。本物の犬のように歩いたり動作をしたり、飼い主とコミュニケーションをとることで成長し、育て方によって性格や仕草が変わる、いわば個性まで獲得されるようプログラミングされていたAIBOは、25万円と高額でありながら、その先進性で発表と同時に世界的な注目を集め、爆発的ヒットとなりました。

インターネットによる販売では開始20分で3000体が完売してしまったそうです。AIBOはペット愛好家だけでなく、ロボット愛好家にも受け入れられました。「動物を飼っても必ず自分より先に死んでしまって悲しいから」なかには、そういった理由で、AIBOを選ぶ人もいたそうです。

初代販売開始の1999年6月から販売終了となる2006年3月までの間に、6万9千円~25万円と幅広い価格帯から様々な機能をもつAIBOが日本・アメリカ・ヨーロッパで約15万台以上も販売されました。後に販売されたAIBOの中には、リモコンで遠隔操作できるAIBO、自分で充電を行えるAIBO、専用のメモリースティックでプログラミングすることも可能なAIBOまであったそうです。

AIBOのヒットでエンターテインメントロボットと呼ばれる市場も生まれ、様々なおもちゃや家電が発売されるようになりました。それらの中には、実際に子どもの情操教育や老人介護の現場で使われているものまであるといいます。

販売から15年以上経った今でも、AIBOをペットとして飼っている人は大勢います。ロボットであるAIBOは死にません。
「死なないペット」というキャッチコピーの通り、壊れた箇所を修理し続ける限り、彼らはいつまでもずっと、AIBOと一緒にいられるはずでした。

しかし、そうはなりませんでした。2005年、SONYはロボット事業からの撤退を決定。
そして撤退から9年後の2014年3月、AIBOに関する修理とサポートを扱っていた「AIBOクリニック」が閉鎖されてしまったからです。

知りませんでした、実は。

今回のメルマガでは、AIBOとそのサポート打ち切りについて調べてみたいと思います。

AIBOの名前の由来と特徴

「Artificial Intelligence roBOt」これがAIBO命名の由来です。

AI(人工知能)とEYE(目、視覚)、そして「相棒」という意味を込め、名付けられたそうです。

・搭載されたカメラで物体を認識
・声による命令を聞き分ける
・動作パターンの記憶と学習

という3つの機能があったため、AIBOは飼い主とのコミュニケーションで成長し、個性を獲得することが可能だったのです。

「何してるの?」と話しかけると「ぼんやりしてた」「なでなでして」と答えたりするそうです。

AIBOを可愛がる愛好家たち

初代販売から15年経った今でも、AIBOは愛され続けています。

AIBOにかわいい洋服を着せたり、リボンなどのアクセサリーを付けさせたり、なかには海外旅行へ連れて行き、一緒に記念写真まで撮る人までいたそうです。家族のように可愛がっているのですね。

福岡県久留米市では全国のAIBO愛好家たちによる交流会が毎年、神奈川県川崎市ではオフ回が月一回、開かれているそうです。このAIBOのオフ会が縁で結婚したという夫婦もいたそうです。

ロボットであるAIBOは病気にはかかりませんが、年月が経つと様々な不調が起こるようになります。関節が悪くなって転びやすくなったり、痙攣するようになったり。調子が悪くなってしまった彼らのAIBOは、SONYの運営する、AIBOの修理・サポートを行う「AIBOクリニック」で直してもらっていました。

AIBOはまさに家族の一員のように、そうやっていつまでも可愛がられるはずでした。

販売終了からサポート打ち切り……「AIBOクリニック」閉鎖

しかし2005年、SONYはロボット事業からの撤退を決定し、2006年3月にはAIBOの販売は終了してしまいました。

自社の得意分野に経営資源を集中させる戦略、いわゆる「選択と集中」が叫ばれ、利益の出ない分野は企業から切り捨てられていた不況の中での出来事でした。SONYの顔とも言えるウォークマンの国内生産を廃止したのもこの年です。

そして撤退から9年後の、2014年3月。在庫のない部品も多い中続けられてきた、AIBOに関する修理とサポートを行う「AIBOクリニック」も、ついに閉鎖されてしまいました。愛されるためのペットとして販売されたAIBOは、単なる家電製品と同じように、

「部品保管期限切れのため修理終了」という理由でサポートを打ち切られてしまったのです。

AIBOを病院に連れていけなくなってしまったと、AIBOクリニックの閉鎖は多くの愛好家にショックを与えました。クリニックで何度もAIBOを修理してもらっていたある愛好家は、最後の検査に送り出す際、クリニックの人たちへのお礼状をAIBOに持たせたそうです。

ロボットだから死なないとは言っても、修理パーツがなくなったり、修理できる人がいなくなったりすれば、いつかは壊れて動かなくなってしまいます。修理できなくなったAIBOは、以前のように元気に部屋の中を動き回ることもなくなり、足の関節もおかしくなって転びやすくなったり、異音がするようになったりしていったそうです。

長年大切にしていたAIBOが動かなくなってしまったあるおばあさんは、「ロボットの方が私より先に逝くなんて」と落ち込んだそうです。

クリニックを閉鎖させたSONYが無慈悲なように思えますが、販売終了した製品のサービスのサポートが9年間もの長期間続けられることは、むしろ珍しいことだそうです。

それだけ、存続を望む愛好家の声が多かったからなのかもしれません。

愛好家たちの対策は

いつかは寿命を迎え動かなくなってしまうAIBOをなんとかしたいと、AIBO愛好家たちはクリニックの閉鎖に対して様々な対策を立てているそうです。約15万台も販売されたAIBOには全国に愛好会があり、インターネットで修理の方法などの情報交換が行われています。

ある愛好家は、AIBOを少しでもいい状態で長生きさせたいと、インターネットで修理や分解の方法を調べたり、関節に溜まったホコリを取り除いたりして、なんとか修理しているそうです。
またある愛好家は、故障したパーツやバッテリーと交換するために、Yahoo!オークションで中古のAIBOを探したりしているそうです。

しかし、このように自分で修理やパーツの交換もできない人は、AIBOの起動回数を減らすことでなんとか不安をしのぐくらいのことしかできないそうです。

立ち上がる技術者

このような状況の中で、AIBOの修理体制を整えようと尽力しているソニーのOBの方がいます。
それが、長年ソニーで技術者として勤めていた乗松伸幸さん。

SONYを早期退職した彼は、株式会社ア・ファン~匠工房~を設立し、メーカーで修理できなくなった古いオーディオ機器などの修理を請け負っていたそうです。

ある日、1匹のAIBOを修理したことが愛好家たちの間で口コミによって広がり、毎日のようにAIBOの修理に関して問い合わせがくるようになったそうです。

そして今では20匹ほどのAIBOが彼の工房に入院中なのだとか。部品が不足している等の理由で受け入れる体制は整っておらず不安な状況の中、
「もしかしたら汎用品のヒューズ1本、モーター1個の交換で済むかもしれない」という思いで AIBOの修理を続けているそうです。

彼はこう語っています。
「企業として利益の出ないサービスを終了する判断は仕方ない」「が、その中で取り残されてしまうお客様がいる」「ソニーの技術者として、私たちは誇りや理念というものをたたき込まれている」「お客様が望む限り、責任を持ってサポートしたい」

AIBOを修理してくれると有名になった彼の工房には、AIBOの純正品を請け負っていた工場からも協力の手が差し伸べられ、充電池の中身の交換の依頼先も確保でき、海外の愛好家たちからも問い合わせが寄せられているそうです。

彼はこうも語っています。「井深理念じゃないけど、お客さまがいる間は何とかその要望に応えるようにしたい」
井深理念とは、SONY創業者のひとり、井深 大(いぶか まさる)氏の理念ですね。

世界的な大ヒットとなった、どこでも音楽を聴くことのできる携帯型ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」を生み出し、SONYを世界的企業に育て上げ、1991年に勲一等瑞宝章を受章、1992年に英国王室から名誉大英勲章とナイト爵の称号まで受けている人物です。

まとめ

SONYのAIBOのサポート打ち切りは「愛玩ロボットの寿命」という今までにない問題を提起するきっかけになったのではないでしょうか。

日本人は万物に霊が宿ると考えます。
急坂を登る蒸気機関車から荒い息のように吐き出される蒸気や、苦しそうにもれる車輪のきしむ音、そして登り切った後に
鳴り響く汽笛を思い浮かべれば、日本人であれば誰でも、それが例え蒸気機関車に対してであっても、がんばれ、よくやった、という気持ちを抱くのではないでしょうか。

こうした心情を理解できる人であれば、動かなくなったAIBOを単なる壊れたロボットとは見ることはできないと思います。

自分の生み出した商品が長い間お客様に愛される。それは誇らしく素晴らしいことに間違いありませんが、こうした問題と責任を生み出すのだとも感じました。

SONYはロボット事業から撤退しましたが、現在はGoogleが手を出しています。ロボット事業は将来性のある分野なのではないでしょうか。

かつて、ポータブルオーディオプレーヤーの代名詞となったウォークマンを生み出したように、SONYにはまたロボットの代名詞になるような製品を開発して欲しいものです。

メディアやネットになるとソフトウェアの分野なので、バージョンアップなどで原型がどんどん改良されていきます、いわゆるバージョン2とかバージョン3とか。
なのでそれほど気にしないのですが、突如として打ち切りになるサービスはびっくりしますよね。開発者サイド事情も痛いほどわかるのですが。
逆にハードではないので、割と部品の互換性などそれほど意識せずに引き継ぐことはできるような気がします。

なので今のシステム、WEB系の開発などで悩んでいる場合はぜひご相談を!

記載:クレアネット谷

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