陸軍士官学校の人間学 戦争で磨かれたリーダーシップ。
アサヒビールが低迷を続けていた80年代に「アサヒスーパードライ」を売り出してアサヒビールを一躍業界のトップにまで上り詰める原動力となったアサヒビール名誉顧問でもあった中條さんの回顧録のような内容です。
中條さんは陸軍士官学校にいた時代があったことに加えて、その時代の流れからの考え方や発想、物の通りを説いています。その中でも、戦争が終わった途端軍人は今までは英雄扱いだったものが急にひどい扱いを受けるようになった当時、自殺するものもいれば気がおかしくなるものもいたという話は鮮烈でした。特に「村の英雄」と崇められていたのに急に手のひらをひっくり返すようなことになったときの動揺は察すれば大変だと感じます。
そんな経験を基にして考え抜かれたアサヒビールの復活劇部分が共感できましたが、何より、トップに立つ人の姿勢や器、態度のあり方についてが非常に納得しました。リーダーたるものはかくあるべし、です。率先垂範して行う、尊敬を受けるような人間性を磨く、といっても杓子定規に物事を捉えるのではなく臨機応変に先を読む能力を身につける、などなど。ものすごく単純に『地位がなかったらこの人の指示を受けるのか』考えたときに『受けたくないな』と思えばそれは地位が物事言っているだけ。
身にしみます。