盛和塾の学びに出てくる「永続的発展」というキーワードですが、企業が一瞬だけではなく持続性を持たせて成長することによって、安定した雇用と生活と社会を生み出すという考え方でその担い手の経営者は常にその意識を持つべき、というものです。
サッカーの世界でも、一瞬一瞬強いチームは存在しますが、永続的に強いチームは存在しません。かつてのフリットやファンバステン、ライカールトを擁したACミランもそう、プレミアのマンチェスターユナイテッドもそう。
その中でバルセロナは今でも強いチームの中でも一つ際立ったチームに育っており、このチャンピオンズリーグもその強さを見せ付けています。
かつて2008年、チャンピオンズリーグの試合をカンプノウで見たバルセロナは、今はウッチーがいるシャルケとの一戦で、アンリやボージャン、ドスサントスなどがいて、シャルケ相手に確かヤヤトゥーレが決めてシャルケに勝利した試合でした。
僅か20m先でバルセロナが有名なボール回しのロンドを行っていて、そのスピードに感動したものでしたが、あれから今もなおチャンピオンズリーグの準決勝に必ず進んでおりその強さは誰もが認める強さを誇っています。
その中で、前に書いたセイドゥケイタと同じく、バルセロナを支える第二のキーパーがホセ・マヌエル・ピントです。キーパーという仕事は第一のキーパーがよほどのことがないと代役で出ることはありません。キーパーの怪我、そして累積の警告、などがないと出場機会は皆無となる仕事職柄です。
ホセ・マヌエル・ピントはその中で、第一のキーパービクトールバルデスの控えとしてこの2012年で5年目のシーズンを迎えました。2008年にレンタル移籍をした後、ホセ・マヌエル・ピントはビクトールバルデスの控えのキーパーとして第二のキーパーとしてその地位を保ったままシーズンを送ってきたわけです。キーパーは孤独な仕事といわれますが、シュートをとめて当たり前、決められるとゴールキーパーの責任、という1つのミスで試合を失ってしまう立場がキーパーです。
ワールドカップでも多くのキーパーが1つのミスで試合を敗北の結果を引き起こしてしまったケースも多々ありましたし、そういった責任を伴うのがゴールキーパー。そしてその第二のキーパーほど、試合の中で難しいポジションはないのではと感じます。
ただ、ピントはその難しい第二のキーパーというポジションで5年目のシーズンを迎え、グアルディオラ監督の信頼も非常に高くチームでもメンバーやスタッフに慕われている存在だそう。
ピントの儀式として、バルセロナがシュートを決めるとメッシでもシャビでも、セスクでも誰であろうと、そして相手がマンチェスターだろうが3部リーグのチームだろうが、チームの控えメンバー全員と拳をぶつけて得点を喜ぶそうです。ピントは今現在36歳、ゴールキーパーが長く続けることのできるポジションといってもその先の選手生命がそれほど長くないことは十分に知っているはず。練習では必ず第一のキーパー、ビクトールバルデスと共に練習を行い、試合が終わると真っ先にバルデスの労をねぎらうピント。
サッカー選手は試合に出たくないという選手はいない、当然ですがその当然よりももっと大事なものがある、というのがピントの持論。セイドゥケイタと共に、メディアを騒がせることもなければ活躍が記事になることもない選手だからこそ、グアルディオラ監督はその選手の価値を十分に知っており、チームという組織には必要な重要な選手としてホセ・マヌエル・ピントへの賞賛を送ります。
かつて昔ですが、日本代表がアトランタオリンピックの舞台で、この試合に得点差をつけて勝たないといけないという試合に、後半ロスタイムに前園選手がシュートを決めて、コーナーフラッグのほうへ走って行き雄たけびをあげてましたが、当時監督の西野監督はテレビ上で明らかに「時間がないから早く戻れ!」と前園選手に吠えてました。当時のチームが崩壊していたと記事にはありましが、その一部分だけ見ても素人目にも納得で、残念な感じでした。
ホセ・マヌエル・ピントが活躍する場所は、国王杯が中心なのでチャンピオンズリーグでもその姿が出てきませんが、バルセロナの試合の得点後にホセ・マヌエル・ピントの姿を少しでも見てみたいと思います。
得点を喜び、チームの勝利を願うコミュニケーションこそ、バルセロナの永続的な強さの土台に思えます。
ホセ・マヌエル・ピントはこんな内容のことを言ってます。
「ビクトールバルデスは世界でも最高のゴールキーパーだ、そのキーパーが活躍して勝利に貢献することに異論がないだろう。おれはこのバルセロナに移籍して何回勝利の美酒に酔えたか分からない。
ビッグイヤーも獲得でき、世界で最高のチームの一員であることと、チームに貢献できることができればそれが何よりだと思うんだ。」
ホセ・マヌエル・ピント、世界最高の第二のキーパー。
バルセロナの強さがここにもあります。