人は、やると決めたことや人に宣言したことを、一貫性をもってやり遂げるべきだという考え方を持つ、こんな性質があります。この心理効果を「一貫性の原理=一貫性の法則」と呼びます。行動経済学でいう有名な原理原則です。一貫性の原理は多くの人が持っている傾向であり、知らないうちに行動に影響を与えています。
人はみんな自分自身の行動に対して、「自分の行動に一貫性をもたせたい」という考え方を持っており、その法則をしっかり理解すべきという話です。
フットインザドアテクニックとかイエスセットとか、まあいろんな方法やネーミングがあるマーケティング的な営業的な方法の数々ですが、この一貫性の原理をうまく使っていると言えます。最初は簡単なお願いからイエスを積み重ねていくイエスセットというものがありますが、否定も肯定もないような「今日は暑いですね」という天気の時候挨拶から入るのもまたその1つです。アップセルやクロスセルという商材をどのように意識するのかも全く一緒の発想です。
この「一貫性の原理」ですが、当然自分自身でも知っていますし自覚もしていますが、経営も長くなると最初は思っていたけど今は違うな、という事項も増えてきてましてこのブログも4000回書いていると、10年前に触れた事項と明らかに異なることも出てきていまして、これを一貫性の原則として考慮するか、「経験を重ねることによる学びと成長」に捉えるかでいうと公社だったりします。具体的なものですが、奨学金返金救済制度についてです。もうだいぶ前にノバレーゼさん始めた制度ですが、この制度については2回記事書いています。
最初に書いたほう(2016年)
次に書いたほう(2021年)
制度自体は素晴らしいものですし、適用企業も多々あるので福利厚生で従業員に対しての取り組みは素晴らしいものです。
ただ、今はやっていなくて。
『社員の奨学金を肩代わり~奨学金返金救済制度というのを、昔ですがやっていました。狙いはこの記載とおりで、クレアネットのようなwebの仕事は、多くの場合労働集約的で、経験が増えればそのまま市場価値につながるのもあって、当然制度的にはよかれしと思いながら制度設定を行っていたのですが、昔はやってました、という記載のとおり今はやっていません。奨学金が大変だなというもあるのですが、奨学金を会社が補助するのはこれは会社の役割ではないような気がするのです。奨学金をもらった方やもらってない方ともに会社にいるのですが、会社は仕事をしに来る場所であってお金をもらって生計を立てるところでもあるのですが、家庭の諸事情で奨学金大変だし同情しますというマインドと、奨学金支払い借金を早くしないとというモチベーションと、支払いしてもらうから辞めずらいというきっかけなどと全部含めて会社組織がかかわるべきでない、と感じているからです。』
人間みんな矛盾抱えるので、年月日によって異なる発言にもなるのですが、決して従業員をボロ雑巾のように酷使して利益を搾取したいわけではありません。むしろ、仕事もしない、意欲もない、能力もない、モチベーションもない、後ろ向きな仕事で周囲を困らせる社員の労務管理と赤字分の補填でずっと悩んできた経営からすれば、搾取され続けてきた気持ちのほうが強いわけでもあるのが本音なので。
従業員の物心両面の幸福追求は当然ですが、何かの制度によって能力や結果以外の部分で「あいつばっかりずるい!」になるのはアンフェアですし、組織として美しくありません。
個別最適化でなく全体最適化、視座が上がると視点も変わり発想も変わる、そんなものです。という理屈での一貫性の原理があるわけです。