「立つ鳥跡を濁さず」
ことわざですが、立ち去る者は、見苦しくないようきれいに始末をしていくべきという戒め、という言葉です。
サッカーでもオリンピックやワールドカップなどで負けたチームが立ち去るときにロッカールームをきれいにして、負けたチームに対して「幸運あれ」などの言葉を残したりというようなスポーツマンシップにのっとったことがよくニュースになっていますが、去り行くときに汚くしていくよりもきれいにしてあとに残したいという純粋な気持ちのものだと思います。
立つ鳥跡を濁さず、ちょっと調べると退職時の事柄として出てきて、
「転職回数が多い人は転職する際に自分の利益を優先し転職する傾向にあるので、退職時にトラブる場合も多いようだ。採用の際に過去の転職回数や転職理由も確認した上で、人間性を見極め採用することが重要といえる。」という人事なら当然理解している事項が「立つ鳥跡を濁さず」の説明として出てきています。こんな説明紹介がある以上、立つ鳥跡を濁さずとはいかないケースも多々あるということです。
ちなみに自分の思い出にはなるのですが、自分が社員として前職を退職する際には当然有給消化というものもあったのですが、「一宿一飯の恩を受けた以上恩を返す」と思い、立鳥後を濁すどころか大量のお金も仕事も置いていきたい、ピカピカ以上にして立ち去りたいと思ってました。
社内への引継ぎ用のドキュメントの作成から始まって、外注先への仕様書や指示書作成、退職決まってるのに新規案件引き合い担当回ってくるので、営業提案書作成、プレゼン受注後のディレクションまでずっとやってました。当時社会人3年目の29歳。雇用=禄を育む=一宿一飯の恩を受ける、なので、雇い入れてもらう以上受けた恩は倍にしてでも返す、そんな武士のような生き方だったので、全然有給消化できなくて退職日以降も会社にいたりして、事務の方にも「まだいるけど何してるの?」など心配されたものです。
経営者やってここまでする人は見たことないので特殊なんだろうなと思いますが、
「雇ってもらった会社に恩義を返す、取引先への迷惑を最小限にする。それくらいできない人間は起業する価値などない、むしろ長く持たない」
と思ってたが本音ですし、今も会社員だったら同じようなことをしていると思います。給料をいただく以上は組織に貢献するのが当たり前なので、出来る限りのことを全力で尽くす、のが当たり前なのです。
結果今の前職とは10年近くも「仕事ください」など言わなかったのですが、いろんな諸事情で相談を受けて今に至っている、わけです。だから、この前に年末挨拶にお伺いした際にも事務の方に当時のこと思い出しながら言われました。
サッカーしてるときにサッカーだけ上手くても何も偉くない、コツコツ努力する姿勢とか最後まで戦い抜く諦めない心、サッカーを通じて得てほしいのはそんなこと、というようなサッカーだけでなく人間力に通じることを学生時分には先生に教えてもらった気がしますし、生き方としては仕事できるとか立派な会社を作ることも大事ですが、仕事を通じて日々精進しながら顧客のため、チームにために切磋琢磨して人間的に大きく成長することで、周囲のみんなから認められ尊敬されるようになる、それが人間として大事と思っているわけです。これは経営の学び、人生の学びです。
口八丁手八丁でなく汗を流し努力を重ねることで、同僚や部下、上司や顧客、家族や友達にも認められ敬意を受けるような人間になること、これが最も大事と思ってますし、当時20代も今40代も変わっていません。
立鳥後を濁すどころか大量の仕事もお金も置いていきたい、ピカピカ以上にして立ち去りたい
そのほうがいいです、仕事は長い、人生も長いのですから短期的なこと重視でなく、自分自身にも嘘をつかないためにも、恩は倍にして返したいという発想に近いものです。