東村アキコさんの「かくかくしかじか」。
ちょうど5年前にもまとめを書いていまして、これは一隅を照らす話に合わせていました。一隅を照らす=「片すみのx誰も注目しないような物事にきちんと取り組む人こそ尊い人である。」 ひたすらに自分の仕事と経営道を究めることが、全ての道につながるという発想でもあって、漫画では先生が最後の最後まで「描け」と指導するシーンが正に描き手の生き方を貫け、という意味にとらえた感想でした。
あれから5年、改めて読めば気付かなかった深みと面白みが湧き上がってきます、目線がもう先生の立場でもあり東村先生の立場でもあり、両方の視点が錯綜してしまうんです。
若さゆえのわがままとか、若さゆえの生意気とかごうまんとか、そんなものがたくさんあったのを振り返ることができますし、やっぱり会社やって若い社員と向かい合うと同じような感覚がすぐによみがえってきますので、すごくわかって恥ずかしくなる感覚です。
漫画なので面白さは当然大事、ずっとティッシュ描いてる児玉さんとか、「ZUCCA×ZUCA」のはるな檸檬さんとか、要所要所に面白い小ネタがたくさん入っているのなんかもすごいです。
美術系受験がスポ根なのかい、というと読んでるとスポ根にしか見えません、漫画自体面白いことは当たり前で、東村先生の回顧録の形で物語が進んでいきますけど、ある程度歳を重ねた大人なので自分勝手でたくさんの人に迷惑をかけてきた自分と、御礼を言いたかったけどもう言えないようになってしまっている自分とが、この東村先生にだぶります。
東村先生の恩師話が中心ですが、ある程度歳を重ねた大人なら誰しも共感できるんではないでしょうか。
迷惑かけた人に優しくしてもらったので、今は迷惑かけて後悔してるのもあるし、そのぶん他人に周りに優しい人間になれるとも思います。
学生さん、特に美大を目指す学生さんに一度読んでほしいなと、すごくディスってますけど核心ついた箇所が多々あるのと、東村先生100ページ巻頭カラー読み切り1人で描き切るって部分合って、やっぱり
・キツい仕事逃げて上にいけるはずない
・量こなすには体力とスピード
・仕事選ぶな、仕事が仕事を呼ぶ
どの業界でも一緒なんだろうな、と今は超有名漫画家になっているのとを見ると、そう思います。
前にまとめた 東村アキコさんの「かくかくしかじか」。