「経費率における人件費が同業の醸造業の平均からしますと高くなっており、明らかにこれは「ずぶ濡れの雑巾」であります。社員一人当たり売上高が650万円見当、一人当たり支出が350万円ですので、同業平均の粗利利益率から換算すればこれで利益が出るはずがありません」
やまもといちろうさんの「社員を切ってください、雑巾は絞ってください」より、引用しました。詳細は「やまもといちろう氏による涙の経営相談~社員を切ってください、雑巾は絞ってください」よりです。ままもといちろうさんはご自身でお父様の事業倒産寸前の危機を守り、必死の活動で建て直しに成功したエピソードが触れられていますが、この経験があるからこそ説得力が生まれると思います。前にも少し紹介した記事があるのですが、金融機関から社長になった方の話です。
綺麗ごとと寝言は一緒で、言ったからどうにもならない空虚なものです。
結局、切った張ったで最後の現場は展開されますし、昨日の味方が今日の敵になることも人間が生き物である限り裏切り行為も当たり前と理解することが大事だったりします。なので「いい意味でも悪い意味でも、社員は経営者の苦しみを分かち合うことができないのです。だから、彼らに相談しても、判断を遅らせることにはなれども早くなることは絶対にありません。」と語る言葉のとおりだと、心から理解せねばいけないのです。この究極的な視点がわかっているからこそ、一緒にいるときくらいは釜の飯の仲間じゃないか、という言葉も気持ちも生まれるわけです。経営の現場では学校のような仲良しクラブごっこは無益です、誰も守れません。
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そしてやまもとさんは私的財産を投入する話もしていますが、普通に考えてみて、
・資本金1000万
・売上1億円 全て粗利
・社員15人 1人給料400万
と仮定してみた場合、
給料400万に社会保険15%会社負担で、460万が負担になり、交通費が毎月2万とすれば24万円、その他諸経費が月10万としても120万、結局600万程度になってきます。
600万円で15人いれば9000万、売上1億で9000万、新しい投資も余剰も全く何も生めません。
仮に、社員10人としても6000万、その他何か広告宣伝費や採用活動、接待交際費として計算して、結果として1000万利益が残ったとしても、税金などで40%納めたとすれば600万が手元に残って内部留保になるので1600万の内部留保となるのですが、1億で1000万の利益出しても結果として会社に残るのは600万。5年頑張って3000万。
社員15人、1人給料400万なら、結局600万くらいとすると、1月50万くらいが分岐点としてみれば、毎月750万がコストなので、2000万あっても3ヶ月でショートになります。
「ずぶぬれの雑巾で床を拭く無益な行為」というのはこんなことを基準として思考するものかとしみじみ思うのですが、だからこそ経営者は常に合理的な思考や行動で利益を出して顧客満足を高い視点まで追求することが必要だと感じます。結局はその方向でどこまで追求できるかの1点なので。