天皇陛下の心臓手術を行った天野先生の書籍、「佳く生きる」が出てましたので即買。
前の熱く生きるも本当にいい本でしたが今回もまたいい。
ちなみに主題の「病院のご飯が質素で美味しいと感じない理由」ですが、病院のご飯が「質素で味気ない。早く焼肉でも食べたいよ」と思うようになれば回復の兆しが見え退院が近いバロメータだそうです。食は生命の基本、「うまいメシ食いたい」気持ちは早く退院して回復して外に出たい、という感情の発露であって、病院メシが美味しいと言うのはちょっとよろしくもないわけです、確かに病院は元気になって早く退院してもらうことが最もいいことなので美味しい飯出して居心地いいとだめなわけです。これはなるほどでした。負の感情を利用。
仕事に貴賎はない、と思っていますし職業で判別すべきではないと思っていますが、心臓心疾患の手術を行う先生と我がwebディレクターを比較するとそれはおこがましいことだと思います。自分の仕事のミスで人の命を失う危険がある、そんな職業ではwebディレクターはないですし、そのようなハードな手術をこれまで6000件(書籍では8000件になってました)を行っている先生の行動と結果を考えると、比較するほうが失礼にも感じるわけです。
「仕事に飽きる」とか思うようなちっぽけで薄い職業倫理なら早く飽きて辞めたほうがいい、と心から思いますし、先生のようにこれだけの数の件数の手術を行っても「まだまだわからないこともある」と謙虚に真摯にどのようにしたら患者を救うことができるのか考えるお医者さんでありながら、還暦過ぎてもまだまだ活躍されていることもすごいと思うんです。
読んでいくとわかりますが、佳く生きる、の佳く、は良くでも善くでも好くでもない意味は、一つのものさしで善悪を図れないけれども「佳い」という価値観があるわけで、その佳く生きることが医師としての目指すべき道なのでは、というような意図です。「一隅を照らす」のような。心臓心疾患の手術などでも高齢になって手術を行うことはこの高齢化社会にとってふさわしいのか、という疑問もあるかもしれませんが、人が元気に高齢になっても活き活きとして暮らし生を全うすることのお手伝いをすることは正に「佳い」ことだと思います。佳く生きる、佳い仕事をする。