伝聞のあいまいさを知っている分、事実のみを的確に伝えていくことで本当の事実が浮き彫りになる、というのが価値感として正しいと感じます。
戦艦大和ノ最期、吉田満さん。
この本をわずか1日で書き上げたそうです。書いたときに吉田さん22歳。
自分の記憶を頼りに事実を記載することは強烈な記憶があれば書き上げることもできるのでしょうが、それにしてもいろんな決意と悩み煩悶と反省と批評と、多くの葛藤が読み解けます。同じ立場ででは何ができるのか?最良の行為は何か?など考えると本当に難しい。
息子さんは電通さんで仕事、吉田さんは最後日銀で勤めてたとかで、何度もあとがきでご本人さんのコメントが出てきたり、その後も活躍されたそうで。
私より上の世代の人は教科書で勉強してたのでしょうか。
今考えれば国語の教科書のチョイスは素晴らしいものが多く、「おむすびころりん」「ごんぎつね」などもそう、「スーホの白い馬」とんでとんで「走れメロス」などまだ記憶に残っている作品も多く、この戦艦大和ノ最期も高校くらいで読んで学べればまたいろんな学びも多かったのでは、と思います。
何より「戦艦大和ノ最期」
最後 ・・ 終わりあるもの
最期 ・・ 死を前提とした終わり
なのでこれも感じた箇所。
あとがきにもありましたが
「戦争肯定と批判する人は、われわれはどのように振舞うべきだったのか教えていただきたい。われわれは一人残らず招集を忌避して、死刑に処せられるべきだったのか。あるいは極めて怠惰な無為な兵士となり、自分の責任を放棄すべきだったのか」
選択すべき立場の者を批判することは簡単、葛藤を経て決断し行動をしたものを後から批判することも簡単、だからこそ、この作品に強い衝撃などを感じるのだと思います。
吉田満『戦艦大和ノ最期』に記された、特攻を知った若い士官が死ぬことを覚悟して語った言葉
進歩のない者は決して勝たない/
負けて目覚めることが最上の道だ/
日本は進歩ということを軽んじすぎた/
私的な潔癖や徳義にこだわって/
真の進歩を忘れていた(続— レ点 (@m0370) 2018年4月7日