藤井4段、負けましたけど本当にすごいです。
小学生のときに詰将棋3手詰み、とか5手詰み、とかやったり父と勝負して飛車角なしで勝ったりする思い出が色濃い自分としては、そのすごさが本当に感じます。
で、藤井4段はすごいのですが、何気に将棋会館が大阪の福島にあったことが知らずにびっくりしました。福島駅のあのスカイビルあるあの裏のほう、将棋は東京で全てやっているものとは違ったわけでして、普段普通に通るあの道沿いです。福島から176とか十三とかに抜けているあの道沿いです。
将棋会館、そして将棋くん。
そこでふと、クローズアップ現代でとりあげていた村山聖さん。
■ クローズアップ現代+ 2016年10月25日 161025 伝説 いま再び 夭折の天才棋士・村山聖
漫画もあるとのことで、早速購入しました。作家は山本おさむさん、前に「遥かなる甲子園」を書いていた漫画家さんです。遥かなる甲子園は沖縄でアメリカ基地が原因で流行った風疹のせいで、耳が聞こえない子供が生まれそのろうあ者が甲子園を目指す話です。
>>24時間テレビの耳の聞こえない子供たちのタップダンスと遥かなる甲子園
村山さんは先天性の病気で、生まれてからずっと重い病を抱えたまま生きていきます。
みんなと同じように走ったり、同じように水泳をしたり、同じようにご飯を食べて遊ぶことができない、そんな身体の中将棋と出会い、将棋にのめり込んでいきます。そして子供の将棋大会で運命的な羽生名人との出会い、戦い。
村山さんは若干29歳にしてこの世を去ります。
村山さんにとって、将棋を指すことは生きること。
生きる価値とか何のために生まれたのかとか、そういったいろんなものをずっと日々考え悩んでいた人生だった村山さん。そして、村山さんの師匠の森先生、森先生は宝塚の清荒神駅の近くで将棋教室をしているそうで、地域が近ければ近いほど遠い人の感じが薄れます。
師匠の森先生は、震災で弟子を亡くしてしまうのですが、『「この地に住み弟子を育て続けることで、船越君の無念を少しでも背負いたい」と、毎年1月17日を「一門の日」として、門下とともに船越さんが住んでいた震災跡地で慰霊を続けている。』そうです。この本は3巻あるんですが、最初から泣けてきて泣けてきて、最後にありますが、この最後の言葉こそ村山さんを紹介する言葉で、
『苦しみをすべて引き受け、それでも決して絶望せず、希望を持ち、純粋に生きようとする者・・。そういう者こそ聖なるものなのだ』
『弱さを多く持っている人 苦しみを濃縮して多く抱えた人 それが村山聖に濃縮して凝縮されたかたちであって それを短い障害の中で十二分に表現したと 一種の聖なるものが現れていていつの時代の人もそういうものに触れたい欲求があるのだと思います」
この作者山本さんのコメントに全てが凝縮されているように感じます。
命をかけてまで将棋を指す男を、人は聖なる男というのだと。
村山さんがなんと大阪で福島で、私が司法試験勉強で近くのLECの自習室で勉強していた時には同じく福島で将棋を指していたんです。森先生は宝塚、清荒神駅近くなどこの辺の近く馴染みありすぎるシーンだらけなんです。最後のお別れのシーンでは何とも言えない親近感。
何度も出てくる定食屋更科、タイミングがあったので行ってきたのですが、将棋指しがたくさんいました。
>>【番外編】「今や福島区の名所になった」福島駅前にある棋士の聖地『更科』さん