『失敗の本質』
野中郁次郎先生も著者の1人として参加しているこの失敗の本質。
野中先生といえば知的価値とか、目に見えないものの価値に関しての考えがすごくしっくり来ますし、組織論などの考え方は『気付いているんだけど言語化できなくて何となく放置していたことを体系化して言語化してくれた』部分が本当に多く感じます。
例えば「場」の考え方など。目に見えない価値というとたいそうなものの感じがしますが、大したことではないんです。新しくインターン生がやってきた際には必ず朝礼の場で簡単な「自己紹介」を行う、それを拍手で迎えるだけでインターン生がどれだけ「ほっ」とできるかという数字化を計ることはできませんが、共に学ぶ仲間意欲や意識が少し生まれることは否定できません。
逆の立場になることもあるのでそれはわかるんです。新しいコミュニティに入るときに最初緊張する中で少しだけ優しくしてくれる場、飲み会や歓迎会であったり節目に場を作ることを意識的に経営してますが、クレアネットではこれは野中先生の「場」の考え方に近いものが染み込んでいるからです。会議や食事、顧客との打ち合わせを生産性で絞れば悩ましいですが、場つくりとしてまとめるととても有意義なものになるんです。
でこの「失敗の本質」ですが、読むと実に面白い。
戦争責任をどうこういうことは全く違いますし、単純な責任論ではありません。ただ、組織としてこの流れに進んでいく過程での詳細がわかるんです。あかんとかわかるけど、そっちに行く理由とか背景とかもイメージできるのがすごいところですし、この本の納得できる部分です。1点だけを見てだめだなど言わず、日清・日露の流れからの盧溝橋やノモンハンなど、点でなく線で進んでます。今から30年前に出されてたんですが、これはすごいなと。